「復活の日」と「世界崩壊の序曲」は、パニック映画ブームの終焉だったな〜

 


1980年6月公開のアメリカオールスター映画「世界崩壊の序曲」と、こちらも日本のオールスター映画「復活の日」の2本。

1970年代に流行ったパニック映画の終焉は、この日米2本の商業的失敗だったと思ってる爺です。

まず「世界崩壊の序曲」の製作のアーウィン・アレンは、1960年代にTVドラマ「宇宙家族ロビンソン」「原子力潜水艦シービュー号」「タイムトンネル」をヒットさせた事で有名な方。 

そして映画界で「大地震」や「大空港」と同じく、パニック映画ブームを作った「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」を製作し、大成功させたその世界の第一人者です。

が、その後の監督・製作を手がけた1978年の「スウォーム」、1979年の「ポセイドン・アドベンチャー2」 が商業的に失敗し、一発逆転の勝負をかけたのが「世界崩壊の序曲」でした。


まず配役が凄く、「タワーリング・インフェルノ」のポール・ニューマンウィリアム・ホールデン、「大空港」のジャクリーン・ビセット、「ポセイドン・アドベンチャー」のアーネスト・ボーグナイン

ポセイドン・アドベンチャー2」 のヴェロニカ・ハメル等のパニック映画オールスターに加え、人気の「ロッキー」でミッキー役のバージェス・メレディスと、この顔ぶれでヒットしないわけがない配役。

ところが、 2,000万ドルの予算をかけるも、興行収入は170万ドルという惨憺たる結果に終わってしまい、このためアレンは映画製作から撤退を余儀なくされ、本作は彼の手がけた最後の映画になりました。



一方、日本の角川映画が製作した「復活の日」も、「世界崩壊の序曲」に負けず劣らずのオールスター映画で、角川映画人間の証明」に続いての出演!アメリカのジョージ・ケネディ

ジョージ・ケネディは、パニック映画の金字塔「大空港」から始まったエアポートシリーズに唯一全てに出演。「大地震」や「ナイル殺人事件」のオールスター映画に出演していた『時の人』でした。

同じく「ナイル殺人事件」に出演していた、あの!「ロミオとジュリエット」で日本でも大人気だったイギリス人女優オリビア・ハッセー

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1970年代になっても「ミッドウェイ」や「スーパーマン」に出演していた、古の名優!グレン・フォード に、「タワーリング・インフェルノ」にも出演していたロバート・ヴォーン等々豪華絢爛でした。

日本側も当時二枚目俳優としてトップ人気だった草刈正雄氏はじめ、映画界のトップスターが勢揃いで、監督はあの「仁義なき戦い」の深作欣二氏。

また「復活の日」は、角川映画定番の大コマーシャルにより社会現象にもなったので、配給収入24億円と「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」「影武者」に続く1980年の映画興行収入は3位の大ヒットでした。

が、しかし、製作費が20億円(一説には25億円、30億円以上とも)と当時の日本最高額だったのと、莫大な広告費等を合わせると大赤字になり、角川映画は「復活の日」以降、超大作路線はやめています。

ただ、私ももの凄い話題作のわりに傑作とか思わなかったですが、「復活の日」は観ていて嫌ではなかったですね。

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オリビア・ハッセーは美人だし、本物のハリウッドスター達が出演してますし、海外ロケもふんだんなので映像がゴージャスでしたし、本物の潜水艦(チリ海軍協力?) は圧巻だったし南極の映像も綺麗!

流石に金かかってるな〜と感心したものです。それぐらい映像が素晴らしい映画でした。

ストーリーも小松左京氏原作なので、悪いわけもなく、何故?「傑作!」とか「面白い!」とか感じなかったのか?、自分でもよくわからなかった不意義な映画なんです(笑)。

一方、「世界崩壊の序曲」は本当に駄作。あの!アーウィン・アレンが、何故?こんな映画を作ってしまったのか?今も謎。

復活の日」は金をかけてるのがわかりますが、「世界崩壊の序曲」は何処にそんなに金がかかってるのか?観ていてよくわからない。ラストの吊り橋を渡るシーン含めスペクタクルシーンがせこい。

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まぁ〜「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」も、「大空港」から始まったエアポートシリーズも、今観るとスペクタクルシーンはせこいですが、「世界崩壊の序曲」は比じゃない。


それにそれらヒットしたパニック映画は、時代を超越した人間模様がなかなか深いのですが、「世界崩壊の序曲」にそれは全く感じない。

 

見どころと言えば、若きジャクリーン・ビセットとヴェロニカ・ハメルのお二人が、とても美しいぐらいかな〜?

 

余談ですが「タワーリング・インフェルノ」撮影中、アーウィン・アレンは市長夫人役を演じていたシーラ・マシューズと結婚していますが、彼女は「世界崩壊の序曲」にも出演してます。

 

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まぁ〜1980年と言えば、前年の「スーパーマン」「エイリアン」、そして同年の「スターウォーズ 帝国の逆襲」と、もうパニック映画ブームでもないっしょ?って時代背景もありましたからね〜。

人気だったエアポートシリーズも、1980年に人気のアラン・ドロンと「エマニエル夫人」で名を馳せたシルビア・クリステルの共演「エアポート'80」が最後でしたから、時代が変わったって感じですかしら。

ちなみに「エアポート'80」も、「タワーリング・インフェルノ」のスーザン・ブレイクリーとロバート・ワグナー、そしてシリーズ全作出演の!ジョージ・ケンディも出演していたオールスター映画でした。

というわけで、2023年現在、「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」「大空港」などを思い出の映画として語るおっさん、おばちゃん、爺さん、婆さんはおります。

が、「世界崩壊の序曲」を語る人に会った事ないですし、私も人に聞かれるまで自ら語る事のない映画ですね〜。