天才はデビューの頃から天才。若きスティーヴン・スピルバーグ監督「激突!」

 

天才はデビューの頃から天才。だって、天才だから若く実績がなくても、チャンスが与えられデビューできるわけですから。

なのでジャンル問わず、アーチストの作品は、やはりデビュー直後のもの、その作品によって「その人あり」になれた頃の作品が私は最高と思ってます。

というわけで、初期の若きスピルバーグの2作品。

共に元はテレビ映画だった、かの有名な!「刑事コロンボ」がシーズン化した、記念すべき第1作「構想の死角」と、後に好評につき劇場公開された「激突!」。

この若き天才!スピルバーグの2作品、私は大好きです!

まぁ〜、ありがちですが、家庭の事情ある「わけあり」の少年時代を、わりと引きこもり気味に過ごしたスピルバーグ

更に学習障害なので、あまり読み書きが達者ではなく勉強もできる方でもなく運動神経も良くない、かっこいいわけでもないユダヤ人のスピルバーグは、学校では虐めの対象にもなっていたそう。

で、、、

スピルバーグ作品には、この少年時代のソレが出ており、特に恐怖の描き方は本当に上手いと思います。

既に「激突!」から、最後まで顔も名前も動機もわからない正体不明のトラック運転手に、今で言う「あおり運転」を執拗に繰り返しくらって殺されそうになるセールスマン。

この、「何故?どうして?」という理不尽な思いと恐怖。あれ、虐めを受けた側でないとわからない経験かもしれないですね。

そもそも虐めなんて、やる側は動機なんてあってないようなもの。ソレに乗る連中も動機なんて、あってないようなもの。

そしてソレを止めないのも、止める自分に利が発生する動機がない、逆に面倒に巻き込まれるのは嫌だから傍観してるわけで、虐められる側の理不尽さと恐怖は、経験した者でないとわからないでしょうねー。

トラックをうまくやり過ごした、もう次はないだろう、これで終わったと安堵してる、いや、安堵したいのに次の瞬間!トラックが待ち伏せしてるシーン、、、。

あれ虐めっ子に「鬼待ち」された経験から来てると、私は思いますねー。

 



あと、「激突!」で既に主人公のセールスマン、そんなシーン本当に必要なのか?と思うような、国道脇の休憩所から家に電話して、このセールスマンと奥さんの夫婦仲が悪いのがわかるシーンが入ってます。

スピルバーグの映画で、家庭円満、夫婦仲も親子間も良好な、その昔のアメリカのホームドラマみたいな家庭はほぼ出てこないのも、自分の少年時代の家庭実体験からだとボクは思ってます。

で、、、

スピルバーグの人気を決定的にした「ジョーズ」しかりですが、「激突!」も、逃げ回り恐れおののくだけではなく、最後は! 勝負を挑む。

これは実生活ではソレができなかった、スピルバーグの強い願望でしょうね(笑)。 

登場「人物」は殆どセールスマン一人。

全編、公道と二台の車だけ。やっぱり映画は脚本だなー、金かけりゃーいいってもんじゃないし、早撮りでスピルバーグは有名ですが、ダラダラ長い時間かけ撮影すりゃーいいってもんじゃない。

と、つくづく思う、本当に「激突!」は、時代を超越した若き天才!スピルバーグの傑作ですね。