ゴジラ。「怪獣大進撃」と「怪獣総進撃」の微妙な差

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ゴジラ・ミニラ・ガバラ オールスター怪獣大進撃」は、1969年12月公開の1970年東宝正月映画でした。

オープニングで時代背景を表してるエレキサウンドのBGMは良いとして、いきなり「佐々木梨里、東京ちびっこ合唱団」による、あからさまに子供向けの「怪獣マーチ」のタイトルバック!

リアルタイム子供の頃に観て以来の、爺になって改めてネット配信で観て(あ〜、きっと子供の頃、いきなり嫌な予感がしたのはこれだな)と記憶が蘇りました。

円谷プロの怪獣特撮路線は、人気テレビシリーズの「ウルトラセブン」を1968年9月で打ち切り、映画も同年8月公開の前作「怪獣総進撃」を最後に、映画も撤収する予定だったそう。


ところが、「怪獣総進撃」が前作の「ゴジラの息子」よりも興行収益を上げたのと、1969年夏のSF「緯度0大作戦」が興行的にコケたのが原因で、東宝は終わらせる筈のゴジラ、怪獣を再び復活させたとか。

それが「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オールスター怪獣大進撃」。

問題は、莫大な製作費をかけながら興行的にコケた、日米合作の「緯度0大作戦」の皺寄せで、それまでの製作費の3/1の予算で作られたのがこの映画ですから、面白い映画を撮るのはかなり難しい。

また、1970年頃の日本の映画界はどこも急激に経営が悪化しており、東宝も人気の若大将シリーズ・無責任シリーズ・社長シリーズがピークを過ぎており、結局、残ったのはゴジラと怪獣だけ!

だから!莫大な製作費をかけなくても、ゴジラ他、怪獣を沢山出せば子供は観る。そこそこ稼げるという東宝の魂胆が、子供でも見え見えだったのが「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オールスター怪獣大進撃」。

で、、、

今も伝説になってるほどの凄い怪獣ブームだったのに、何故?怪獣ものは、それほど映画会社は儲からなかったのか?と長年考えていたのですが、おっさんになって私はわかった事があります。

私の場合、私が「行きたい」と言えば連れてってくれる叔母がいたので、当時の大映ガメラ大魔神の怪獣映画、東映のマンガ祭り、そして東宝特撮ものはほぼ全て観れました。

が、どうにも同世代と想い出話をしていても、このへんにひっかかってくる奴がいない。

みうらじゅん氏や岡田斗司夫氏の話は、無茶苦茶共感できるのに、みうらじゅん氏や岡田斗司夫氏のような奴が、自分の周りに一人もいない事にある時気ずいたんです。

まぁ〜、考えてみれば当時の親は今のように「家庭サービス」なんてしないし、親世代は怪獣映画なんて好きではない。興味も関心もあるわけがない。

だからまずパパと一緒に行くのは無理ですから、後はママが出無精じゃなくて映画館が好きな人じゃないと、子供を怪獣映画になど連れて行かない。

だから!同世代でも、テレビの「ウルトラQ」や「ウルトラマン」は熱く想い出を語れても、映画館での怪獣映画になると観てないから何の思い入れもない。

なので当時の怪獣映画の想い出を共有出来ないんだという、自分にとっては結構な衝撃の事実を、おっさんになってSNSの時代になってから改めて知りました。

当時の特撮以外の邦画って、人気俳優の顔と名前頼みで、今観ても金がかかってないのがわかります(笑)。でも、特撮はそうは行かない。金と時間ががかかってしょうがなかったんでしょう。 

で、「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オールスター怪獣大進撃」と同時上映は、当時人気抜群だったコント55号の「コント55号 宇宙大冒険」と、アニメの「巨人の星 ゆけゆけ飛雄馬」(テレビ版の編集もの)。

3本立てで、私的に一番面白かったのが、既にテレビで観ている再編集の「巨人の星 ゆけゆけ飛雄馬」で、人気絶頂だったコント55号も、映画になると(面白くないな〜)と子供心に生意気に思いました。

そして「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オールスター怪獣大進撃」に至っては、(もう怪獣映画は観ない!)と心に誓ったほど、子供でも惨憺たる気分になった酷い映画だった記憶があります。

時代的に、やはりサヨクの影響がこの頃は映画も漫画もドラマも強く、公害、鍵っ子など、子供にとってはどうでもいい社会問題を全面に出しつつ、物語は子供の妄想の怪獣島とマヌケな誘拐犯の話。

怪獣のゴジラの息子のミニラと主人公の子が、普通に日本語で会話をするという、まぁ〜後のハリウッド映画の「ET」と思えば、腹もたたないでしょうが、子供だった私でも(なんじゃ?こりゃ)でした。



一方、前作の「怪獣総進撃」は後のハリウッドの「ジェラシック・パーク」の元ネタは、こちらの映画の怪獣ランドだと思っています(大元は「ウルトラマン」の「怪獣無法地帯」でしょうが)。

怪獣はこれで最後にする予定だったので、スタッフも気合いが入っていたのでしょう。「怪獣総進撃」は、東宝得意の宇宙人VS地球防衛軍というスケールも相変わらずでかかったです。

ところが!「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オールスター怪獣大進撃」は子供の妄想、、、

(それはねーだろ)と子供でも思った、脚本のスケールダウンには参りました。

また「ゴジラの息子」から(なんかちょっと違うんだよな〜)と、子供の私でも違和感を感じましたし、「怪獣総進撃」も駄作ではないですが傑作とは子供でも言い難かった。 

そして「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オールスター怪獣大進撃」は、もう子供でも完全にアウト!

主人公の鍵っ子の両親は、テレビ「ウルトラQ」の万丈目君=佐原健二氏と若大将シリーズ加山雄三氏の演じた田沼雄一の妹=照子の中真千子さんですが、リアルタイム当時、殆どその記憶がない。

それほど「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オールスター怪獣大進撃」は、子供の妄想が主のお粗末な内容。

あと、テレビ「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」で、観ている子供のこっちも怪獣慣れしちゃってるせいもあり、妄想の中の怪獣対決なんて新鮮味がない。

更に!なんと旧作のフィルムの使い回しをやっていて、子供でも(これ手抜いてない?子供なめてない?)と思ったものでした。

まぁ〜というわけで、子供の私でも当時何が?つまらなかったのか?の再確認の為に観た「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オールスター怪獣大進撃」でした。