「続・男はつらいよ」は「エデンの東」と同じ瞼の母探し物語


 

 


1969年8月公開の「男はつらいよ」に続いて、11月にはもう続編が上映された渥美清氏演じるフーテンの寅の「続・男はつらいよ」。

その後の「国民的映画」と呼ばれるほどの興行収入には及ばなかったものの、「男はつらいよ」は新たなヒットシリーズになりそうな予感が松竹にあったのでしょう。もの凄い短い期間で製作されています。

1968年10月〜1949年3月までの間、テレビ放映時の「男はつらいよ」のマドンナ、佐藤オリエさんが、映画版二代目マドンナに起用され、その父親で寅の恩師でもある先生の同じ役で、東野英治郎氏も登場。

ちなみにシリーズ3、4作目は山田洋次氏は監督を降りてるので(脚本はやってる)、リアルタイムは、あんなに長い年月に渡って「男はつらいよ」がシリーズとして成り立つとは、思ってなかったでしょう。



さくら、博、おばちゃん、マドンナを映画では出演者を代えた山田洋次氏は、寅さんを長く続ける気もなかったであろうから、テレビ版に原点回帰したかったのかな?と、個人的には思ってるシリーズ第二弾。

で、この「続・男はつらいよ」は、寅の「エデンの東」だと私的には勝手に思っております。

まぁ〜渥美清氏演じる寅さんと、ジェームス・ディーン演じるキャルを一緒にするのは無謀のようですが、監督・脚本の山田洋次氏は東京大学でのインテリ映画青年。

ジョン・スタインベック原作、エリア・カザン監督の「エデンの東」を観てないわけないので、何らかの影響は受けているだろうと考えて「続・男はつらいよ」で、寅の瞼の母を探す物語を観ると面白い!


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エデンの東」の有名な冒頭の電車に無賃乗車し、死んだと教えられてる自分のママではないか?と思う女性に、キャルはカリフォルニアからモントレーの港町まで会いに行くわけです。

でも、会いに行ったキャルのママは、売春宿を経営している女性で(自分も元売春婦?)、会いにきたキャルを追い返してしまう。

一方、東京でトラブルを起こし葛飾柴又にいずらくなって旅に出た寅は、京都で香具師の啖呵売をしている所を、京都旅行に来ていた恩師とマドンナ親娘に見つかっちゃう。

「まだ893な商売をやってるのか!」と叱られますが、寅に自分の元芸者の瞼の母がどうも京都で働いてるらしい。だからここで売をしてると聞かされ、絶対に母親に会いに行くべきと二人は諭します。

でも、寅はキャルと違い気が弱いので一人で会いにいけないので、母が働いてると思う連れ込み旅館にマドンナと一緒に会いに行くわけですが、瞼の母は連れ込み旅館の下働きしてるのではなく何と経営者。


寅は自分のイメージ(夢の中では風見章子さん)と全く違う、強欲やり手婆風の母(ミヤコ蝶々さん)に、びっくりし、更に母は寅が金の無心に来たと勘違いして追い返しちゃう。

でも、キャルも寅も、ママと母とそれで絶縁するわけではなく、なんだーかんだで関わります(「男はつらいよ 奮闘編」でミヤコ蝶々さんは再び登場します)。

なので「続・男はつらいよ」と「エデンの東」、この辺とても良く似てるんです。

まぁ〜この後は、寅さんは喜劇ですから「エデンの東」とは全く物語は異なるわけで、また、父と兄と不仲で孤独なキャルと違い、寅はおいちゃん、おばちゃん、腹違いの妹も妹の亭主も、みんな寅に優しい。

というわけで、 キャルと寅、その周りの人間関係も全くキャラクターが異なりますが、共に私的には「エデンの東」も「続・男はつらいよ」も大好きな物語です。