サイズは普通にA4だったのかな?「カッパコミックス」で、月刊「少年」で連載してた「鉄腕アトム」を一冊丸ごと読むのが、私は大好きな子供でした。
そして史上初の!漫画のコミックス・単行本、秋田書店の「サイボーグ009」の一巻は、そんな流れで買った、子供心になかなか衝撃の!一冊。
一巻のサイボーグ戦士達が、どういう経緯でブラックゴーストにさらわれ改造されたのか?そしてそこから脱出して、ブラックゴーストと戦う事になる流れ。
追ってくるブラックゴーストの刺客の、サイボーグ0010から0013までの第二巻。ここまででも、かなり充実感のある漫画でした。
そしてこれは時代を感じる、ベトナム戦争の裏で暗躍するブラックゴーストとサイボーグマン達の第三巻も、なかなか深いものがありました。
で、「少年キング」連載時の最終話、試作品の00ナンバーサイボーグと違い、ギリシャ神話の神々と同じ名前の、完成された最強のミュートスサイボーグ達との熾烈な戦いの第四巻。
この戦いは、後の永井豪先生の「デビルマン」のラストと同じようなアルマゲドンだったと思います。子供心に読んだ時は(笑)。
でも「そして誰もいなくなった」が、「少年マガジン」でサイボーグ009の連載が再開したら、00ナンバーサイボーグ達は、それぞれ母国に帰って平和に人間として生活してる事になっていた。
なんとな〜くミュートスサイボーグ達との戦いで、00ナンバーサイボーグ達は全滅したっぽい終わり方だったので、これはこれで当時はかなり!斬新な再開で、驚いたものでした。
サイボーグ009は、対ブラックゴーストが良かったな〜♪
今や日本でレーサーとして活躍してる009の元に、009がそこを脱走してブラックゴーストにさらわれた久留浜の少年院時代の仲間が、親しみをこめやってくる。
ちょいとほのぼのした流れの、「少年マガジン」再開サイボーグ009。
でも、「少年キング」連載でブラックゴーストと決着はついていないので、この少年院時代の仲間も実はブラックゴーストに改造された刺客だっというくだりは、悲しくせつない新シリーズのつかみでした。
ちなみに第一巻で009は、日本人なのに髪が栗色なのを仲間に聞かれ困惑してますが、009の設定は国籍不明の父と日本人女性との間にできた、当時の言葉で言う「あいの子」の孤児です。
秋田書店の初版単行本で、009の名前は「村松ジョー」と如何にも「あいの子」っぽい名前でしたが、いつしか「島村丈」と丈が漢字になって苗字も変わっていました。
サイボーグ009が少年キングで連載開始になったのは、前回の東京オリンピックの年の1964年。日本が大東亜戦争に敗北して19年です。
そして日本は敗戦の1945年から1952年までアメリカの占領下にあり、その間、多くの日本人女性が望むと望まざるとアメリカ兵の子供を産み、そして悲しい事ですが捨ててもいます。
これは私の勝手な想像ですが、そんな時代背景の009は多分「GIベイビー」。アメリカ兵と日本人女性の間にできた私生児。それも捨て子の設定だったのではないでしょうかね〜。
石ノ森章太郎先生も、ズバッとそうは書いてませんがなんか匂わせていたような気がしたし。
だから、少年院から脱走しブラックゴーストに捕獲され改造された未成年の009と、フランスで誘拐された未成年の003は、年齢的に気があう「良い仲」の描き方なのでしょう。
サイボーグに改造されるまでのエピソードが、当時の少年漫画では斬新だった!
サイボーグ009の00ナンバーサイボーグ達の人間時代物語って、バレリーナを目指してた普通のお嬢ちゃんだった003を抜かすと、皆わけありで暗く、これが子供心にかなりショッキングでした。
002は、アメリカ移民の元の国の違いによる少年ギャング達の抗争で相手を刺し(映画『ウエストサイド物語』の影響?)、004は米ソ冷戦時代に東ドイツから西ドイツに亡命する検問所で、恋人が撃ち殺されちゃうし。
005はアメリカの先住民、ネイティブなのに居場所のないインディアンだし、006はChinaで経営してた中華屋がつぶれそうで首吊り自殺寸前だし、007は役者崩れの酔っ払いだし、008はアフリカで人身売買されるところを逃げてるし。
そして、今のロシアがソ連時代の001は、父親の博士が生まれたばかりの赤ん坊に脳手改造を試み、並外れた知能と超能力を与えるけど、その行為を非難する妻を殺害してるし。
秋田書店版のサイボーグ009第一巻の、00ナンバーサイボーグ達の人間時代のエピソードは少年にはエグかったし、それまでこんな物語の漫画って読んだ事なかったので、ショッキングでした。
お馴染みのスカールと、新キャラのバン・ボグートの悪の魅力!
で、少年マガジン版に話を戻して。ブラックゴーストそのものと、それまでは描かれていたと思うドクロ面のスカールも、実はブラックゴーストではなく1サイボーグだった(或いはロボット?)。
そして遂に!正体を現したブラックゴーストとは、3つの脳だったというくだりも斬新でした〜。いや子供には衝撃でした!
それまでの流れでは、スカールこそがブラックゴーストでしたから(きっと最初は、石ノ森章太郎先生も、そのつもりだったと思いますが。笑)。
で、もう一人。表の顔は日本企業の社長で、裏の顔は地下帝国ヨミの支配者のバン・ボグートという新しいキャラ。
これもなかなか強烈で、思えば秋田書店版では僅かに5巻〜6巻の2巻だけの、少年マガジン連載時の「地下帝国ヨミ編」は、読み応えのある深くて重い物語でした。
ラストの002と抱き合いながら009が大気圏から地球に落ちていくシーン。少年はマジに泣きましたから。
まぁ〜後にこの「地下帝国ヨミ」の感動のラストは、レイ・ブラッドベリの「万華鏡」のパクりと伝わっていますが、当時の少年がレイ・ブラッドベリの「万華鏡」など読むわけがない(笑)。
だから、やはりあのラストは衝撃だったのですよ。
何たって、三つの脳のブラックゴーストが搭載されてる魔神像の爆破と共に木っ端微塵に吹っ飛び宇宙に投げ出された009を、ジェット噴射全開で大気圏を突破して救援に駆けつけた002、カッコ良かったもん♪
ところが燃料切れでジェット噴射がストップ。009と二人で大気圏に真っ逆さまの、あの!ラストシーンは、本当に少年は痺れたもんですよ。
少年マガジン連載の「サイボーグ009」もこれにて終了。この感動の最終回で009は、華々しく終了と思っていたら、暫くして、あんれまっ!復活しちゃった(笑)。
嬉しいような悲しいような。
私的感想としては、「ハレンチ学園」の「ハレンチ大戦争」の末の壮絶なラストに、おったまげたのに復活したら、正直あんまり面白くなかったのと同じでした。
というわけで、私の「サイボーグ009」は「地下帝国ヨミ」で終わりでした。何度かその後の物語も読んではみたのですが、どうもピンとこなかった。