手塚治虫先生の快作「MW -ムウ-」の映画化はね〜、、、

 

 

天才!手塚治虫先生の、原作漫画が大好きだった「MW」(ムウ)。

映画化されたのは風の噂で聞いてましたが、観ることもなく時が過ぎ忘れてしまいましたが、GYAO!でやっていたので、やっと!観てみました。 

で、2009年の映画か、、、

今や爺でも知ってる玉木宏氏に山田孝之氏が主演だけど、上映当時、多分、私は二人とも知らなかったから、大好きな漫画の映画化でも、お金出して劇場で観ようと思わなかったのでしょう。 

で、観終わった感想は、こんなもんかなと。原作が、ちょいと秀逸すぎるからね〜。

まぁ〜原作知らない人なら、それなりに面白い映画なのでしょう。

とはいえ!、、、

ベトナム戦争湾岸戦争に設定を変えるのは良いし、原作にいない女性記者を石田ゆり子さんに演じさせ、華を添えようというのも良いでしょう。綺麗どころの彼女の出演は集客に貢献したと思いますから。

又、これも原作にはありませんから、きっとスタッフがタイ旅行がしたかったのでしょう。

「フレンチコネクション」のような、カーアクションが撮りたかったけど、日本では撮影許可がおりないから、タイでロケしたのでしょう。とても良いシーンでした。

このへん全てOK!


でも!、、、

結城(玉木宏氏)の変装名人芸に女装がないのと、双子の歌舞伎の女形の兄が登場しないんじゃ、「MW」(ムウ)は話が全然変わっちゃう。

それに、結城と賀来(山田孝之氏)が同性愛者じゃないのは、駄目っしょ!そこが大事、肝なのに!

まぁ〜この辺はスポンサーから横槍が入ったとかって話だし、だいたい人気漫画や小説が原作の映画って、その知名度だけで集客がそこそこ計算できるから、そこ狙いでスポンサーがつく場合が多いからね。

ありがちですが、金は出すけど口も出すパターンで、スポンサーに「MW」(ムウ)に対する思い入れ、愛が全くなかったのでしょう。

だから、製作側も色々と大変だと思いますが、原作ファン、手塚治虫ファンには、ちょっと厳しい映画ですね〜。

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結城と賀来は映画のような幼馴染でも友達でもなく、たまたま島に遊びに来た不良少年時代の賀来が、子供の結城を無理やり犯した仲なんです。

大人(おっさん)になり神父になった賀来は、その若き頃の自らの行いを後悔し懺悔して生きるも、結城の色香の誘惑に勝てず!やっぱり結城を抱き続けてしまう、この人間の意思とは別の性癖の弱さ。

この聖職者としての自分と、そんな性癖を持つ自分の賀来の心の葛藤と苦悩、その姿を傍で楽しそうに嘲笑い眺め、賀来を自分の犯罪の共犯者にして行く結城の、この二人の対比が面白いんですけどね〜。

そして、そんな結城を性の倒錯者にしてしまった、こんな頭のおかしい殺人者にしてしまったのは、自分が無理やり犯した、自分の性癖のせいだ。なんて自分は罪深いんだ。神よ、お許しを!

この神父の賀来の葛藤と苦悩と懺悔!「MW」(ムウ)は、これが面白いのに、それがないで「MW」(ムウ)とタイトルをつけて良いのかな〜?と、、、


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映画でも在日米軍将校を結城が人質にするシーンありますが、あれも将校がホモで、結城とできてたから、そうなってしまったわけですが、その過程が全てすっ飛ばされてる。

支店長の家に来た銀行員の『様子の良い』結城を、偉いパパの部下と甘く見た娘の美香が、面白がって誘惑するも、セックスの最中、結城に美香は薬物を注射されちゃう。

「死の直前の膣の締まりは最高」と結城に言われ、その死の恐怖の美香の表情を見て楽しみながらイク、結城はそういう男。

で、そんな結城の残虐な犯罪がバレないのは、結城が荒磯に死体を投棄した美香に女装して成り済ましてたからで、結城は知能的な血も涙もない愉快犯で、映画のような復讐なんて考えてない。

双子の兄が歌舞伎の女形をやるほど、結城は男が見ても女が見ても、妖艶な魅力のあるセクシーな男で、結城は年齢性別、容姿を問わず人間の弱みの性癖にくらいついて、したい放題の悪魔なんです。

だから!「MW」(ムウ)は面白いのに、映画はこの描写が全くない。


玉木宏氏と山田孝之氏のホモのベッドシーン、二役の玉木宏氏の女形や女装なんて映画の目玉になったと思うんだけど、スポンサーがダメならしょうがない。お金がらみの大人の事情だから。

監督もフジテレビ→日本テレビの岩本久志氏で、映画はこれ以降撮られてないようだし(映画は結局2本)、テレビマンらしい諸々のしがらみもあったのでしょう。こちらも子供じゃないから理解します。

ただ、秀逸なラストも結城に双子の兄がいるから「死んだのは結城なのか?それとも兄の方なのか?」と謎めくのに、映画の方は、結城が「♪死んだはずだよ〜お富さん」と、生きてる筈がないのに生きてる。

正直、「なんてお粗末なラストだ」と呆れ返りました。

が、まぁ〜いいと。監督に限らず脚本家も色々な制約あっての苦肉の策の本だったのでしょう。それに、原作を知らずにこの映画が好きな人もいるでしょうから、このへんで。

最後に、もし!原作を知らず、映画が面白いと思われた方、是非!手塚治虫先生の原作を、機会があったら読んでみてください。傑作!快作!ですので。