「青き炎」はバブル絶頂期からバブル崩壊後「週刊ヤングサンデー」に連載してた漫画!

 


バブル真っ盛りの1988年末、「週刊ヤングサンデー」で連載開始された漫画「青き炎」。

そして、バブル崩壊直後の1991年2月に連載は終了してますから、今にして思うと正に「青き炎」は、リアルタイムの「バブルの申し子」みたいな漫画でした。

主人公の梅津龍一、社会通念で言えば「嫌な奴」「クソ野郎」「悪い奴」です。でもこの梅津龍一、とても「クール」で魅力的。

男は「クールでいたい」という願望は誰でもあるものですが、醜男で不細工でクールにしてると、男にも女にも残念ながら「暗い奴」と気持ち悪いがられるだけ。

なので、やっぱりルックスが良くてカッコ良くないと、クールはさまにならない。所詮人は他人様を第一印象、「見た目」で判断しますから。

更に、ルックスが良くてカッコいい奴がクールを装っても、腕っぷしがないと、たいてい若い頃は不良に「カッコつけてんじゃねー!」とつっかかられ、痛い思いをしてクールでいられなくなる。

大人になっても、嫉妬深く僻みっぽい不細工で醜男の上司や同僚に、必ず!足を引っ張られるから、やはりちょっと、つっかかるとヤバい実力がないと、男がクールでい続けるのは難しい。

では、ルックスが良くてカッコ良くて腕っぷしがあれば、不良でもクールでいられるかと言えば、これが!そうでもないのが男の世界の鬱陶しいところ。

不良の世界には必ず!そういう男を「盾」」と「矛」にしたつもりになって、揉め事を持ち込む半端不良が寄ってきたり、そいつをダシにし女にモテようと、友達面して寄ってくる『虫』がわいてきます。

なので、クールでい続けるには、頭と冷徹さも必要になりますが、これは若い男にはか〜なり難しい条件。

結局、この手の不良は周りに「番長」「親分」に祭り上げられるので、孤高=クールでいられなくなる。

一方、、、

孤高の人」だの「一匹狼」だのを、他薦なく自称するバカはいつの時代もいますが、大抵この手の男は、ただ周りに相手にされない「変わり者」「変な奴」なだけ。

クールな男の「孤高」と、バカの「孤立」は全く違うことが、全くわかってない場合が多い。

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梅津龍一は、ルックスが良くてクールで腕っぷしも良いだけじゃなく、学生なのにホステスの小夜子という恋人もいるほど、女にモテる。

そして若いのに、その恋人とのセックスに溺れる事なく(これが普通は難しい。笑)、勉強もちゃんとやる成績優秀で、身体も毎日鍛えてる、とにかく梅津龍一はストイックな若者。

 

スポーツ万能で身体を鍛えていても高校の運動部には所属せず、友達も作らない。小夜子とのセックス以外、他人と関わらない梅津龍一は、パパの台詞通り「何を考えてるのかわからない」高校生です。

でも、自分に気のある地元の名士の病院の「お嬢」とは、しっかりやっちゃって、それを知った「お嬢」の家族はなんとか別れさせようとすると、高校生なのに慰謝料を梅津龍一は請求。

その慰謝料受け取り、約束通り別れると「お嬢」は自殺未遂しますが、梅津龍一は動揺一つせず貰った金を合格した大学の入学金に当て、大嫌いな父親に親子の縁をこれで切ると宣言。

恋人の小夜子と共に、地元を去り東京へ向かいます。


「お嬢」は可哀想なれど、このへん、やっぱりかっこいいんだなー。この掴みだけでも、梅津龍一にちょいと読んでる野郎どもは、私だけではなく心を惹かれたでしょう(だから人気漫画になった)。

そして小夜子は夜の銀座で働き、梅津龍一は慶応大学に通いながらの同棲生活が東京で開始。

テニスサークルに入っても女性にモテモテで、そこでもマドンナ的な「お嬢」と梅津龍一はやっちゃって、大学の先輩にスカウトされ梅津龍一も夜の世界、ディスコの黒服のバイトを始めます。

 

で「お嬢」よりも親が金と地位のある、次のターゲットの「もっとお嬢」がラグビー好きだとわかると、テニスサークルもやめ「お嬢」も捨て、ラグビー部に移るとここでもスポーツ万能の大活躍。

 

目的の「もっとお嬢」とやっちゃうわけですから、同棲相手の小夜子も、こんな恋人の「ふざけた男」の日常を許すわけもないですが、惚れた弱みで結局は梅津龍一の言いなり。

うーん、女性にはお叱りを受けてしまいますが、やっぱり梅津龍一は漫画とはいえ男から見てかっこいい(笑)。

が、ここまでがコミックスの第二巻までの、梅津龍一のイケイケドンドン、893的な青春讃歌なんですが、何と!犯罪サスペンスに物語がかわっちゃうのが、コミックスの第三巻から。

 

思えばリアル「週刊ヤングサンデー」連載時は、ここまでが後にバブルと命名される時代の最盛期だった記憶があります。


で、こんな人を人とも思わない生き方をしてる梅津龍一に対し、捨てられたプライド高き「お嬢」は当然恨み骨髄で、寝取られた「お嬢」の元彼も梅津龍一を憎む。

一方、梅津龍一はヤクザや親が資産家の遊び人薬中娘、多数のビル持ちの未亡人おばちゃんと更に人脈が広がり、そんな梅津龍一を怪しいと思った「もっとお嬢」の親から依頼された探偵に強請られる。

そして小夜子まで、逆玉の輿を狙う梅津龍一は捨ててしまったので、小夜子にも小夜子の夜の客で小夜子に惚れてるヤクザにも、梅津龍一は恨まれ命を狙われる。

結果、狡猾な梅津龍一はやられるわけもなく、逆に殺人、放火、死体遺棄等、犯罪を繰り返す犯罪サスペンス物語に漫画は変わっていくわけです。

 

梅津龍一の冷淡な女の扱い方や犯罪は、手塚治虫氏の「MW」(ムウ)の結城美知夫に似てるな〜とリアルタイム思って読んでましたが、結城美知夫はある事故で脳と精神が病んでいる愉快犯。

 

でも、梅津龍一にその描写はなく、ひたすら女を踏み台にし男を嘲り蔑み、今の世の中の人生の勝者とか何なのか?を突き詰めていく私利私欲の男でした。


というわけで「青い炎」はハッピーエンドになるわけのない展開ですが、後半はまた意外な登場人物達が現れ、当然ですが刑事にも追い詰められ、梅津龍一の運命やいかにってなラスト。

 

いやー今思い返しても、本当なかなか面白い漫画でした。

犯罪は犯しちゃダメですけど、うーん、やっぱり梅津龍一は、若き自分には思うところのあるバブル時代の生んだ魅力的なキャラクターでしたね〜。