
T・レックスの「20センチュリー・ボーイ」は、1972年来日時に、日本の東芝EMIでレコーディングされたメイド・イン・ジャパンのグラムロックです。
T・レックスが日本でも大人気になったのは、その1972年。日本のサディスティック・ミカ・バンド、同年末公式レコードデビューしたキャロルが、日本のグラムロック的バンドと見られていました。
グラムロックは、英国で起きたR&Rリバイバルムーブメントの最中で起きましたからね。
まぁ〜、キャロルはファンの方なら釈迦に説法ですが、公式デビュー前のザ・ビートルズの真似をして革ジャン&リーゼントにしたわけです。

革ジャン&リーゼントはジョニー大倉氏の提案だそうで、矢沢永吉氏は最後までリーゼントは反対だったそうですが、結果的にそのビジュアルが、流行りのグラムロックとリンクして話題になりました。
で、T・レックスと同じ頃、スージー・クアトロも日本と英国で特に大人気で、革のジャンプスーツに身を包みベースを弾き歌うスージー・クアトロは、本当にカッコ良かった!
まぁ〜当時はYouTubeもレンタルビデオもないので映像を見れなかったので、雑誌「ミュージックライフ」やレコードのジャケットだけですけど。
というわけで、キャロルの矢沢永吉氏とスージー・クアトロは、当時の国内外のレザー姿でベースを持ってシャウトする超!有名なお二人でした。
キャロル時代の矢沢永吉氏が、ベースを抱え腰をひき顎をあげ歌う仕草はポール・マッカートニーの影響と思われますし、歌唱中の合いの手というか煽りの巧みさもポール・マッカートニーの影響でしょう。
また、今の今まで矢沢永吉氏の口からスージー・クアトロの名前が影響受けたミュージッシャンででた事はないですが、キャロルと同時期に流行っていたスージー・クアトロを知らないわけはないですよね。
同じ黒のレザーでベースを抱えシャウトする矢沢永吉氏とスージー・クアトロって話のネタになってましたし。
そんなスージー・クアトロは、「エドサリバンショー」に出演したエルヴィス・プレスリーをテレビで観て、自分はこれをやると決めたほどプレスリーファン。
1968年のカムバックスペシャルで、エリヴィス・プレスリーはレザーの上下を身に纏っますから、その影響をスージー・クアトロが受けてないわけないですね。
また、同1968年に上映された映画「バーバレラ」のジェーン・フォンダの衣装の影響も、スージ・クワトロは受けて、自分の衣装を決めたとも述べてます。


1974年、リリィさんが自ら作詞作曲し最大のヒットになった「私は泣いてます」を、テレビで歌う時、ベースを弾きながら歌ってたのは、当時人気のスージー・クアトロの影響だったでしょう。
そして日本公開2011年、ダコタ・ファニングがシェリー・カーリーを演じたザ・ランナウェイズの伝記映画で、彼女たちがスージー・クアトロに憧れていた事が明らかにされてます。
そんなザ・ランナウェイズ時代からスージー・クアトロを信奉していたジョーン・ジェット↓は、ソロになってからも徹底してレザー、黒にステージ衣装はこだわり続けてるのが凄い!

スージー・クワトロの話は矢沢永吉氏はしませんが、当時、日本で人気絶頂だったスージー・クアトロを知らなかったとは思えない(笑)。
まぁ〜聞かれればエルヴィス・プレスリー、デヴィッド・ボウイの影響と答えるでしょうし、実際にそうかも知れませんが、私的には「スージー・クアトロみたいだな〜」と思ってました。

で、T・レックスは1972年から73年にかけ日本でもヒットを連発させましたが、スージー・クアトロは若干遅れ、1973~74年にかけヒット曲を連発。
T・レックスとスージー・クアトロのヒット曲がかぶさるのは1973年の1年だけで、この1973年、キャロル唯一のシングルヒットと言える「ファンキー・モンキー・ベイビー」が発売された年でもありました。
で、T・レックスの日本でのブームというのは案外短く、既に「20センチュリー・ボーイ」の後ぐらい、1974年末頃には急激にその人気は下降。
一方、スージー・クアトロは1974年から78年まで連続来日を果たすほど、日本では抜群の人気を誇っておりました。
また、スージー・クアトロは親日家で、バンドメンバーと日本で和服姿の文金高島田で結婚式もあげ(後に離婚)、これは雑誌「ミュージック・ライフ」にも大々的に取り上げられました。
そして、日本の酒造メーカーのCMにも登場する程、スージー・クアトロは日本での人気も抜群でした。

なので、人気が急に失速したT・レックスのマーク・ボランが急死した1977年も、スージー・クアトロは日本では未だ人気者。
一方、キャロルは1975年に解散。矢沢永吉氏はソロになって1976年から快進撃をはじめ、マーク・ボランが死亡した1977年には初の日本武道館でのソロライブを成功させ、その後は誰もが知る通りの大活躍。
思えば、キャロルのデビューのきっかけにもなったTV番組は、フジテレビ「リブ・ヤング!」。
そして「リブ・ヤング !」にも、初来日時のT・レックスは出演しており、まさかその5年後に、T・レックスが行った日本武道館で矢沢永吉氏がソロライブを行うなど、誰も思わなかったでしょうね。
いや、T・レックスのマーク・ボランが若くして他界してしまうなど、少なくとも私は思いもしなかった。
