「奥様は魔女」のルイーズと「見知らぬ乗客」のミリアムを演じたケイシー・ロジャース


1951年(日本公開1953年)のアルフレッド・ヒッチコック監督の名作!、そして原作はこちらも名作!アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」と同じパトリシア・ハイスミスの「見知らぬ乗客」。

「見知らぬ乗客」は、厳格な父が邪魔な頭のおかしい金持ちのボンボン(ロバート・ウォーカー)に、浮気性の妻との離婚に悩むテニス選手が、乗り合わせた電車内で交換殺人を持ちかけられる物語です。

原作のパトリシア・ハイスミスは同性愛者・レズで、「太陽がいっぱい」とリメイクの「リプリー」が片思いのホモの話なように、「見知らぬ乗客」の犯人もその気があるように匂わせてるのが面白い。

また、交換殺人を持ちかけられるテニス選手を演じたファーリー・グレンジャーも、後に自伝でバイセクシュアルである事を明かし、男女問わず多くの有名人と関係を持った事を告白。

更にはロバート・ウォーカーも、諸般の事情で本当に精神状態悪く、精神科医から薬をもらい常用してましたが、アルコールと薬との急性アレルギーで「見知らぬ乗客」公開年に32歳で他界しています。


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また、犯人のママは盲目的に倅を溺愛してる描写で、犯人がマザコンだろうと匂わせており、同じヒッチコック監督の後の「サイコ」の強烈マザコンのノーマンに、なんとなく通じるものを感じます。


で、その理不尽に交換殺人の餌食になってしまうテニス選手の妻が良い人かというとそうではなく、浮気性で誰の子かわからない子を宿してるろくでもない女。

更には、この妻は自分から言い出した離婚話なのに、既に恋人がいるので旦那が離婚話を進めようとすると豹変。離婚を拒絶して旦那を困らせ喜んでる嫌〜な女。

結局、旦那も激怒して口論になってるところを目撃されているので、妻殺しの嫌疑を警察から旦那はかけられちゃって、さぁ〜大変という物語が「見知らぬ乗客」。

で、その殺害されちゃう嫌〜な女、妻ミリアム役がケイシー・ロジャースです。

ミリアム役は眼鏡姿でしたが、素顔のケイシー・ロジャースはとても美しいゴージャスな女優。

 

 
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そんなケイシー・ロジャースは、1950年代後半からは「ペリー・メイスン」等、人気テレビドラマのゲスト出演が多くなり、日本でも誰もが知るような有名な映画出演はなくなってます。

1964年には、日本ではヒットしなかったようですが、TVドラマ「ペイトンプレイス物語」のレギュラー出演を決め、このドラマは若きライアン・オニールやミア・フォローもレギュラー出演しています。

更に、こちらは日本でも何度もリバイバル放映され大人気TVドラマになった「奥様は魔女」でも、1966年よりレギュラー出演。

アイリーン・ヴァーノンから1966年に引き継いだその役は、ヒロインのサマンサ(エリザベス・モンゴメリー)のご主人ダーリンの上司で社長のラリーの奥様、ルイーズ・テイト役でした。

なので、彼女の名前を知らなくとも、2023年現在、中高年から初老の「奥様は魔女」ファンなら、必ず見覚えのある女優です。

で、「奥様は魔女」は、ダーリンもディック・ヨークからディック・サージェントに変わっており、まぁ〜そのへんは、大人の事情が「奥様は魔女」も色々あったようですが、その辺は、また別の頁で。

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『アイリーン・ヴァーノンのルイーズとラリー』

1972年に「奥様は魔女」が放映終了した後のケイシー・ロジャースは、2度の結婚でもうけた4人の子供の子育て中心に、徐々に家庭に専念するようになり俳優業は廃業(1974年に二度目の離婚)。

5冊の本を執筆しテレビの脚本などで才能を発揮すると、ご子息の影響でオートバイ、モトクロスレースにも興味を持ちだし、女性ライダーを支援する組織も立ち上げております。

また、50歳を超える頃まで自らもレースに出場していたそうで、多才というかなんというか、面白い人生を送られている女性でしたが、2006年に他界しました(79歳没)。