六本木スクエアビル「GIZA」が使われた、松本清張氏原作1980年の松竹映画「わるいやつら」

 



わりと、いつの時代もテレビドラマでも映画でも人気の高い松本清張氏の、1980年 松竹・霧プロダクション第1回提携作品「わるいやつら」。

霧プロダクションは、野村芳太郎監督と松本清張氏が作ったプロダクションですが、1984年には早くも解散してるので、霧プロ作品としての松本清張氏原作の「わるいやつら」と「疑惑」の二作品は貴重です。

で、、、

当時の六本木を代表するディスコだった「メビウス」が閉店したのが、この映画上映前年の1979年。そして1980年初頭、この後シーンの話題を独占した六本木スクエアビルに新たに入ったのが「GIZA」。

わるいやつら」では、こちらの開店したばかりの「GIZA」のシーン、冒頭から出てきます。

雰囲気的に、1977年の角川映画人間の証明」の、ファッションショー場面の影響を受けてると思っておりますが、なかなか華やかなオープニングで良いです(物語がおどろおどろしいので)。

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でも、原作の時代設定は1960~61年ですから、当時はグラウンドキャバレーやミルクホール等はあれど、ディスコは存在してませんから(笑)、設定は当時の「現代」(1980年前)に変更されてます。

原作の1960~61年は、大東亜戦争敗戦からまだ15~16年とは言え、高度成長期の日本は東京オリンピック開催に向かって一直線。年平均10%以上の経済成長を遂げていた頃です。

実質経済成長2%もままならない平成デフレ不況、令和になってもデフレマインドから抜け出せない昨今の日本では、世の中、大衆の気分や空気は雲泥の差でしょう。

更に映画版1980年は、その崩壊後に「バブル」と命名される時代に向かって一直線の時代。エズラ・ヴォーゲルが「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を世に出したのは1979年ですから。

当時の日本は国中、いや特に!東京都市部は浮かれ気分だったので、なんとなーく1980年の映画版「わるいやつら」の映像は、「GIZA」に限らず私的には懐かしいものを感じます。

バブル=ジュリアナは間違い!

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外から見える2台のエレベーターが特徴的だった、地下二階地上10階のそのスクエアビルも老朽化に伴う再開発計画により2007年に取り壊しが決まり、現在はありませんが、このビルはバブルの象徴でしたね。

なんとな〜くバブル=「ジュリアナ」みたいな事に間違ってなってますが、「ジュリアナ」開業はバブル崩壊後の1991年夏で、「ジュリアナ」は本当はバブルとは何の関係もないです(気分はバブルでも)。

実際にバブル絶頂期の1986~1990年、或いはバブルに向かって一直線時代は、このスクエアビルの「GIZA」「キサナドゥ」「ネペンタ」、新宿「ツバキハウス」二号店の「玉椿」等々が本当です。

また当時、全国出店ラッシュだった「マハラジャ」こそがバブルの象徴だったと言えますし(ハワイにまで出店してた)、芝浦なら「ジュリアナ」の前の「ゴールド」の方がバブル時代です。

日比谷と新宿三丁目にあった「ラジオシティ」も、スクエアビルや「マハラジャ」は敷居が高い。でも歌舞伎町じゃガキすぎるってな『ディスコ大人デビュー』のサラリーマン、OLに随分と流行ってました。

ちなみに古のディスコで有名な「ムゲン」「ビブロス」は、バブルの最中の1987年に閉店してますから、こちらをバブルに例える爺さん婆さんがいたら、本当はディスコに行った事のない嘘つきです(笑)。

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で、話を「わるいやつら」に戻して、、、

1960~61年の原作では槙村隆子は銀座で洋品店を経営するデザイナーですが、1980年の映画版では青山に変わっており、藤島チセも原作では銀座の洋品店経営者ですが、映画では料亭の女将。

原作の1960年代当時、銀座が如何に!偉かったか(笑)、後世の人にもこの設定でわかると思います。当時は金持ち、成功者はなんでも銀座でしたから。
 
で、最後になりますが映画版の「わるいやつら」は原作とかなり異なり、片岡孝夫氏演じる病院医院長の戸谷も、取り巻きの女性たちのキャラも随分と変えられてますが、これはこれで面白い!

また、映画ではロマンポルノで一時代を築いた宮下順子さんが、病院の婦長の寺島トヨ役でおっぱい出してますが、他の女優はベッドシーンはあれど、おっぱいは晒してないのが、ちょっと男としては残念。

でも、槙村隆子役の松坂慶子さんも藤島チセ役の梶芽衣子さんも美しくて妖艶で、若き彼女等をみてるだけでも、おっさん、爺さんなら今でも楽しめる映画です(笑)。

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