「三大怪獣 地球最大の決戦」と「怪獣大戦争」の衝撃!


1965年、1966年の東宝正月映画だった「三大怪獣 地球最大の決戦」と「怪獣大戦争」の2本は、当時の少年には衝撃の作品でした。

それ迄の特撮・怪獣映画の怪獣は単独、あるいはVSの2怪獣だったのが、ゴジララドンモスラ、そして新怪獣キンググドラという怪獣オールスター共演だったのが 、「三大怪獣 地球最大の決戦」の衝撃。

そしてこれだけの怪獣オールスターを売りにしてたわりに、映画が始まってから怪獣がなかなか出てこない!

ゴジラが登場するのは上映から40分も過ぎてからで、その後がラドン。話題の!怪獣ニュースター!キングギドラが登場するのは、上映時間も半分以上過ぎた50分も過ぎてから、やっと!

これが良かったんです。モンスターものは洋の東西問わず登場するまで、もったいぶった方が絶対に!面白い(これを1960年代後半から、東宝は間違えたと思いますが、これはまた別で)。

また、当時の特撮・怪獣ものはストーリーがしっかりあり、怪獣が登場するまで東宝オールスターたちが、ちゃんと演技をしてるのが、とても良いのです。

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夏木陽介
・星由里子
・小泉博
志村喬
若林映子
平田昭彦
佐原健二
ザ・ピーナッツ
(敬称略)


流石に東宝の正月映画だけあり、皆さんピンで活躍されていた俳優さんで、翌年にはテレビ「ウルトラマン」でハヤタ隊員を演じた黒部進氏も「悪いもん」の一味の、ちょい役で出演しています。

撮影当時21歳の星由里子さんは、若大将シリーズの澄子さん役で人気でしたが、同じく25歳の若林映子さんが、こちらの作品でもとても上品な美しさを放ってました。

若林映子さんはこの後、1967年に007シリーズ「007は二度死ぬ」で、浜美枝さんと共にボンドガールに選ばれ国際スターになりましたが、その後は早くに引退。

三大怪獣 地球最大の決戦」で、若林映子さんはストーリーの最重要人物のサルノ王女役を演じており、怪獣が登場しない前半部は、彼女の物語です。


志村喬氏も最初の1954年の「ゴジラ」の博士役、ヒロイン(河内桃子さん)のパパ役と、重要な役どころで登場しておりますし、『世界のクロサワ』=黒澤明監督作品出演で今も名を馳せてます。

特に1954年の「七人の侍」での島田勘兵衛役、1952年の「生きる」での町役場の渡邉勘治役は、この先も永遠でしょう!

また、佐原健二氏は翌1966年正月から放映開始した「ウルトラQ」の主役、万丈目淳役でお茶の間の子供達に一躍知られるようになってますので、「三大怪獣 地球最大の決戦」、なかなかの役者陣です。


そして翌年の東宝正月映画も、モスラは出ませんでしたがゴジララドン・キンググドラの3大怪獣共演の「怪獣大戦争」。これも特撮・怪獣というジャンルに括らなくても素晴らしい映画でした。

今度の舞台は、スケールでっかく宇宙で、ストーリーがしっかりしていて地球人と最初は友好的なX星人の政治的駆け引きなど、「地球防衛軍」からの流れっぽいお話で、これもなかなかの物語。

で、怪獣と違い「怪獣大戦争」の人間の出演陣は、「三大怪獣 地球最大の決戦」とは総取っ替え。

宝田明
・ニック・アダムス(声優:納谷五郎)
水野久美
・沢井桂子
田崎潤
・土屋嘉男
久保明
(敬称略)

ジェームズ・ディーンの「理由なき反抗」にも出演してる、ハリウッドスターのニック・アダムスが、1965年夏公開の「フランケンシュタイン対地底怪獣」に続いて出演しています。

三大怪獣 地球最大の決戦」の若林映子さん演じるサルノ王女に匹敵する重要な役所、X星人水野久美さんが演じており、彼女も「フランケンシュタイン対地底怪獣」 に続いての出演。

水野久美さんも特撮・怪獣ものファンの、国内外問わずレジェンドスターですが、1962年の「妖星ゴラス」、1963年の「マタンゴ」にも出演してましたが、ゴジラものはこれが初出演でした。

宝田明氏は志村喬氏、平田昭彦氏同様、1954年の「ゴジラ」で主人公を演じたレジェンドですが、その後は「ゴジラモスラ」で10年ぶりに特撮・怪獣ものに復活。「怪獣大戦争」は3作目の出演になります。

田崎潤氏も特撮・怪獣もののレジェンドで、旧帝国軍人や司令官などの似合う厳しいイメージの方ですが、「怪獣大戦争」では博士役。


こちらもレジェンド、土屋嘉男氏は、ゴジラシリーズは第二作の1955年作品「ゴジラの逆襲」以来、11年ぶりの出演なれど、土屋嘉男氏はX星人統制官、水野久美さんと同じ宇宙人を演じています。

まぁ〜当時の土屋嘉男氏と言えば黒澤明監督作品含め、一般作品に多く出演していた東宝の売れっ子中の売れっ子の人気俳優でした。

 

で、土屋嘉男氏と水野久美さんと言えば、私的には名作!「マタンゴ」。

土屋嘉男氏は「怪獣大戦争」で久々のゴジラシリーズ登場後、続けてゴジラ映画やテレビ「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」に出演してますが、彼の真骨頂はもっと前の怪奇映画。

刑事役の「美女と液体人間」「伝送人間」に続き、1960年の「ガス人間第一号」ではガス人間を演じてますし、その後の「マタンゴ」は名作中の名作!土屋嘉男氏の真骨頂の映画です。

同じく「マタンゴ」で共演の、こちらもレジェンド久保明氏ですが、なんとゴジラシリーズは「怪獣大戦争」が初出演。

久保明氏はテレビ「ウルトラマン」のハヤタ隊員の候補にも上がったそうですが、当時は特撮・怪獣専門と色がつくのが嫌だからと、積極的にはそっちの仕事はやられてないですね。

というわけで、「怪獣大戦争」も「三大怪獣 地球最大の決戦」も、どちらも特撮・怪獣もののレジェンド結集映画ですが、主な出演者で被ってる俳優がいないのが、ちょっと面白いです。