ダルビッシュが本気だしたら打てない の名言を残し優勝した常総学院の木内マジック!

2003年の夏の甲子園で行われた全国高野球全国大会は、東北と常総学院の決勝戦でした。

この大会は春の選抜の優勝校、後に読売ジャイアンツで活躍する西村健太朗投手擁する広島県広陵高校が優勝候補。春夏連覇が話題でしたが、なんと2回戦敗退。

また、この大会は選抜準優勝の神奈川県の横浜、ベスト4の徳島県徳島商兵庫県東洋大姫路が県大会で負けており、宮城県の東北は春夏連続出場でしたが、茨城県常総学院も春は未出場でした。

そんな混沌とした大会を勝ち上がってきた両校、注目は3季連続出場の東北の2年生のダルビッシュ有投手と、取手二時代の夏に全国制覇、常総学院で春の選抜で優勝経験ある名将!木内幸男監督の対決でした。

過去に木内幸男監督は、後の巨人の桑田真澄PL学園)、中日の上原晃(沖縄水産)、ロッテの伊良部秀輝尽誠学園)、巨人の木村龍治(中京)、広島の川島堅(東亜学園)を攻略。

前評判では不利な試合でも、チームを勝たせているその手腕は「木内マジック」と呼ばれていました。


そんな常総学院の木内監督は、「力投派は必ず9イニングスのうち、どこかで力を抜く」と、後に述べており、これが好投手「ダルビッシュ攻略」の戦法だったようです。

東北に2点を先攻された4回、 それまでの3回を無難に投げ切ったダルビッシュが、力を抜いてくる、うちをなめてくるとみた木内監督は、ノーアウトでヒットのランナーが出ても、送りバントをしてません。

又、三塁にランナーがいてもスクイズせず、強行策で!超高校級のダルビッシュ有投手を見事に攻略。

一気に3点を奪い逆転し、8回にも1点を奪い4対2で常総学院は優勝しました。


が、結果オーライで強攻策が成功しましたが、高校野球の定石、送りバントスクイズをせず、もし無得点だったら、後々マスメディアに色々言われたでしょうねー。

でも、木内監督は後に「ダルビッシュを本気にしちゃったら点とれない」「 ダルビッシュがなめてくれれば(点は)取れる」と述べており、確かに言い得て妙!

送りバントスコアリングポジションにランナーを進めても、そこで超高校級投手が「本気」だして投げたら、次の打者は打てる確率は低い。

また、スクイズで1点とっても、その後超高校級投手に「本気」だして投げられたら、同点も逆転もできない。

このへんの頭が、「木内マジック」と呼ばれた木内監督と他の監督との差だったんでしょう。

その後MLBでも活躍するような、10年に一人の逸材、天才・超高校級のダルビッシュ有投手が、本気をだしたら、いくら地元では神童と謳われた野球少年達とはいえ、打てるわけがないですからね。

本格派ピッチャーが、9イニング全て1球1球全力投球するなんて、体力的にも気力的にも考えずらい。どこかで手を抜く、気を抜く、相手をなめる時があっても、おかしな話しではない。

 

で、、、

話が少しずれますが、高校野球史上、優勝準優勝投手でもないのに、ある世代以上だと今尚!ナンバー1ピッチャーと言う人が多い作新学院時代の江川卓投手。

 1973年の春の選抜は、秋の新チーム結成以来、練習試合含む23戦全勝負けなし。

113回無失点という前人未到、驚異的な記録をひっさげ甲子園に登場した江川卓氏は、甲子園大会でもその「怪物」ぶりを発揮。準々決勝まで無失点。

作新学院に何処が勝つか?ではなく、当時は何処が江川卓投手から1点とるか?が大会の焦点、全国の話題になった、思えば凄い大会でした。


そして準決勝の広島商戦。5回裏ツーアウト後、四球のランナーをセカンドにおいて、完全に打ちとった球は、ふらふらっとあがるポップフライでしたが、ツーアウトなのでセカンドランナーは全力疾走!

なんとボールはセカンドとライトの間に落ちるポテンヒットで、全力疾走していたセカンドランナーは一気にホームインし、江川卓氏140イニングぶりに失点を与えています。

更に決勝点も8回裏ツーアウト1、2塁からの、よもやの広島商ダブルスチール

江川卓氏は、キャッチャーにサードに投げるなと指示したとかしないとかで、理由は2、3塁になってもバッター勝負で三振にとればチェンジだからと、正に!後に木内幸男監督の言葉通りの心づもり。

正に、ダルビッシュ有投手が「本気をだしたら打てない」と同じで、江川卓投手も、自分が本気を出して投げた球は、同じ高校生には絶対に打てないという自信と実績があったからですね。


で、そうは江川卓投手が思っても言っても、作新学院のキャッチャーもプライドがありますから、広島商ダブルスチールに、セカンドランナーを三塁で刺してやろうと当然送球しました。

が、これがなんと暴投。結局この1点が決勝点になり、作新学院の「怪物」江川卓氏は準決勝で敗退。優勝は、その広島商を延長で破った横浜(春夏通じ初優勝)。

が、しかし、その横浜は秋の関東大会決勝では、江川卓氏に16奪三振の完封負けをくらってました。

また、選抜大会1回戦で江川卓氏に奪三振の山を築かれ完封負けをくらった、今も「江川伝説」の甲子園大会の1頁めに必ずでる大阪の北陽も、夏の大会は準々決勝まで勝ち進んでます。

その北陽を準々決勝で破ってベスト4まで勝ち進んだ今治西も、選抜では江川卓氏に1安打完封、奪三振20で負けてますから、今も昔も、高校野球は「超高校級のいる強いチーム」が勝つとは限らない。

1試合勝負の高校野球。特に上手いと言ってもそこは高校生なので、暴投も捕逸も野選も失策もあるので、何が起きるかわからないですからね〜。