名作「仁義なき戦い」、広能組の若衆の役者がとても面白い!

 

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名作!「仁義なき戦い」は、1973年1月「おっぱいとバイオレンス」という保険の効いた「女番長 スケバン」と併映で初上映されました。

結果「仁義なき戦い」は大人気、大ヒットになり、1973年だけで3本、年が空け1974年に2本続編が上映され、東映は飽きられつつあった人気の任侠路線に変わる、実録路線に一気にシフトしたわけです。

一作目の菅原文太氏演じた広能昌三は、主に戦争帰りの若者から山守組の若い衆役。そして山守組の内部抗争物語なので、自らの「広能組」は大々的には出てこない。

唯一登場するのが、広能を慕う山守組の若衆=岩見を演じた野口貴史氏で、この方はこの後、全5作で「広能組」の若衆で登場してます。

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野口貴史氏は後に「ピラニア軍団」と世に知られる事になる、東映の任侠ものや時代劇で、悪役や端役をやっていた、映画が好きで好きでしょうがない大部屋俳優たちの親睦団体の一員。

 
ピラニア軍団」は1975年10月より放映されたテレビドラマ「前略おふくろ様」に、メンバーの川谷拓三氏と室田日出男氏がレギュラー出演した事により、一気に有名になり花開きます。

が、「仁義なき戦い」全5作が劇場上映された1973~1974年の頃は、一般的には「ピアニア軍団」は存在も知られていませんでしたが、このシリーズも「ピラニア軍団」総出演で、
野口貴史氏もその一人。 


4月上映の二作目「仁義なき戦い 広島死闘篇」でも、野口貴史氏は同じ役名で続投しますが、2作目から「ピラニア軍団」のもう一人、司裕介氏が登場し最後の5作目まで「広能組」の若衆を演じます。

そしてここでもう一人、松竹「男はつらいよ」の博役でお馴染みの前田吟氏が、「広能組」の若衆=島田を演じていますが、寅さんシリーズの人の良い博と違い、893を演じる前田吟氏もとても良い!

話がそれますが、この年の10月から前田吟氏はテレビドラマ時代劇「風の中のあいつ」で、萩原健一氏演じる黒駒勝蔵の子分、しがない893稼業役を下條アトム氏と共に好演してます。

前田吟氏、渡瀬恒彦氏、黒沢年男氏、伊吹吾郎氏等、広能組構成員は凄い!

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が、「広能組」の若衆はなかなかの面白さ、楽しさがありましたが、「仁義なき戦い 広島死闘篇」は、基本的には村岡組の山中=若き北大路欣也氏と大友組の2代目=千葉真一氏の青春物語。

広能昌三と「広能組」は、物語の狂言回しという感じで、とても良い物語ですが、ちょっとシリーズ中では異色の作品と言えるでしょう。

さて、2作目の「仁義なき戦い 広島死闘篇」で一息ついたところで、お話を元に戻してという感じで同年9月には、早くもシリーズ3作目「仁義なき戦い 代理戦争」が登場!

ここから「広能組」の若衆は増えてるのですが、五十嵐義弘氏演じる水上が登場し、そのまま5作まで「広能組」の若衆出演していますが、五十嵐義弘氏は「ピラニア軍団」ではありません。

五十嵐義弘氏はこの後、東映の実録シリーズにも登場しますが、主にテレビの時代劇「銭形平次」「水戸黄門」「遠山の金さん」「必殺」シリーズで色々な脇役をやられていました。 

 まぁ〜とはいえ「仁義なき戦い 代理戦争」の「広能組」の若衆といえば、やはり川谷拓三氏演じた西条と、渡瀬恒彦氏演じた蔵元の二人が、物語の重要人物なのは、ファンの方なら釈迦に説法でしょう。 


仁義なき戦い」シリーズは、同じ俳優が違う役名で出てるのが多い珍しい映画で、川谷拓三氏は第一作目では土居組の若い衆役のちょい役でしたが、二作目はかなりの重要な痺れる役をやってます。

仁義なき戦い 広島死闘篇」での村岡組の若衆=岩下役の川谷拓三氏は、大友組に壮絶なリンチを受け死亡する役。

縛られモーターボートから突き落とされるシーンは、本当に溺死するんじゃないかってほど危険だったそうで、吊るされ大友に射的にされ死亡するシーンも壮絶です。

この演技で川谷拓三氏は、スタッフからも俳優仲間からも絶賛されたそう。

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結果、3作目の「仁義なき戦い 代理戦争」で、最初の西条役予定だった荒木一郎氏が降板したため、俳優仲間の推薦で川谷拓三氏は西条役に大抜擢!

大部屋俳優の川谷拓三氏が、初めて映画ポスターに名前が載ったのが、この「仁義なき戦い 代理戦争」で、ここから川谷拓三氏はお亡くなりになるまで、テレビ、映画と大人気になったわけであります。
 

一方、渡瀬恒彦氏は第一作で山守組の若衆=有田を演じており、観た者は太々しい893の有田の印象が強かったのですが、「仁義なき戦い 代理戦争」での駆け出しの893=倉元役は少々びっくりしました。

シリーズ中、「広能組」最低のダメ男、西条のせいで倉元は死亡する、かなり切ない役を渡瀬恒彦氏は好演しています。

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さて年が明けて1974年1月には、あれから1年で早くもシリーズ4作目の「仁義なき戦い 頂上作戦」が上映。「広能組」の若い衆は引き続き、野口貴史氏、五十嵐義弘氏、司裕介氏が登場。

新しい若衆=竹本役に、1960年代の東宝の青春スター黒沢年男氏、河西役に八名信夫氏が演じておりますが、八名信夫氏も強面の顔と声なれど「ピラニア軍団」ではなく、後に「悪役商会」を結成しています。

そして6月のシリーズ最終作「仁義なき戦い 完結篇」では「広能組」の若い者頭、氏家に伊吹吾郎氏が出てきます。

柔道一直線、刑事くんの桜木健一氏まで登場の広能組!

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ファンならご承知の通り、この伊吹吾郎氏、1作目では愚連隊上田組組長から山守組舎弟になった上田を演じ、シリーズの肝になった内部抗争の果て、床屋で射殺された役でした。

その上田がとても印象深い伊吹吾郎氏でしたので、1作目以来の登場で今度は「広能組」の重鎮。これもかなり重要な役所なので、ちょいと観ていて上田と氏家が混同してしまうので、注意が必要です。

まぁ〜「広能組」の若衆と全く異なる別役を、伊吹吾郎氏と渡哲也氏は名前と顔を知られる大物俳優だったのに演じてますが、これはシリーズ全般に言える事。

梅宮辰夫氏の土居組若頭の若杉と明石組幹部、岩田組岩田組長役。松方弘樹氏の山守組若頭の坂井、義西会若頭の藤田、市岡組組長の市岡。他にも三上慎一郎氏や小池朝雄氏等が異なる役を演じています。

そしてこの5作目で、かなり物語の重要な役所になる「広能組」の若衆の中でも若造の佐伯を演じたのが、テレビドラマ「柔道一直線」「刑事くん」で人気爆発だった青春スターの桜木健一氏。

その相棒の寺田誠氏演じた清元と共に、第一作から山守組の仲間だったのに広能の宿敵になった田中邦衛氏演じる槇原を襲撃。佐伯は水中銃で自分の足を撃つマヌケぶりでしたが、清元は射殺に成功。


小林旭氏演じる広能の宿敵、天政界二代目会長の武田が、広能の子分とはいえ自分は顔も名前も知らない若い者に、昔からの仲間の槇原を殺害されたのがショックで、893社会から足を洗う動機になってます。

だから、 寺田誠氏と桜木健一氏演じた893の若衆は、物語で重要な役所になってるわけです。

で、シリーズ前5作で「広能組」の若い衆役だった野口貴史氏が、この「仁義なき戦い 完結篇」だけは、岩見を演じておらず別名役の水本。

何故か?岩見役は大木晤郎氏が演じ、水中銃を持った佐伯に槇原襲撃を要請しますが、何故?岩見役は今まで通り野口貴史氏じゃなかったのか?謎。

野口貴史氏が演じた水本は、今度は槇原組の若い衆役で出てる川谷拓三氏演じる守谷(全5作、全て違う役で出演しています)に射殺されます。

そして、武田と槙原が会合してる事を仲間に知らせる、ギターを持った流しの「広能組」若衆をお馴染みの司祐介氏が演じ、もう一人松本泰郎氏が初の若い衆役を演じてます。

最後になりますが「広能組」の若衆、子分役をまとめてみました(敬称略)。 
 

野口貴史岩見益夫(1~4作)、大木晤郎(5作)

前田吟島田幸一(2作)

・司裕介=
弓野修(2〜5作) 

・ 五十嵐義弘=
水上登(3〜4作)、野口貴史(5作)

川谷拓三=西条勝治(3作)


渡瀬恒彦
倉元猛(3作)

松本泰郎=関谷徹(3~5作)

森谷譲=名前不明(3作)

黒沢年男竹本繁(4作)

八名信夫川西清(4作)


伊吹吾郎氏家厚司(5作)

寺田誠清元忠(5作)

桜木健一佐伯明夫(5作)