1954年の映画「ダイヤルMを廻せ!」。
この映画の何が凄いって、映画がスタートからグレース・ケリー演じる妻の殺害計画が実行開始されるまで(未遂ですが)、延々!40分間、会話劇なところ。
スクリーンはグレース・ケリー演じた妻マーゴと、マーゴの浮気相手のマーク、マーゴ殺害計画を企てた夫のトニー、実行犯のスワン4人が!40分間ただ喋ってるだけ。銭かかってない(笑)。
圧巻なのが、妻に離婚されるより殺害して財産を乗っ取ろうと企てるトニーが 、素行の悪かった大学時代の同級生スワンを呼び、その計画を高額な報酬で持ちかけ、説得する二人の会話劇。
これが、かなり長い!(笑)。
ここがつまらないと終わっちゃうわけですが、時間を忘れて観入ってしまうのが、ヒッチコックの凄いところ!
完全犯罪が、この計画ならうまくいくかもしれないと、観る者に思わせる巧さが!とにかく光ります。
しかもこの男三人、皆、身なりがきっちりしてる一見ジェントルマン。
でも、一人は人妻に手を出したマーク、一人は自分の妻を殺そうと計画するトニー、もう一人がその計画を金で雇われ実行しようするスワンと、三人ともろくなもんじゃない(笑)。
勿論、マーゴも不倫してるんですから、ろくな女じゃない。 ヒッチコック 映画は、だから!面白い。

で、マーゴ殺害を実行しようとしたスワン。マーゴに逆襲され逆に死んじゃうところから、物語が俄然!面白くなる。
「刑事コロンボ 」あたりにはよく真似されてますが、最後にトニーは墓穴を掘ってしまう、余計な工作をここでするんですねー。
その工作が最初は功を奏し、なんと!マーゴの突然後ろから襲われたとする主張は受け入れられず、トニーとの浮気をスワンに脅された結果、マーゴはスワンを殺害したと警察は判断。
なんと!スワンは一命を取り止めたのに、今度は殺人犯として死刑判決が出ちゃう!、、、
マーゴが人妻なのに浮気してたというのも印象が悪い、この冤罪の怖さの描き方も見事です!
でも、怖いだけじゃなく、基本的にヒッチコック 特有の、ちょいとクスッとするシーンもあって、本当にこの「ダイヤルMを廻せ!」は面白い。
ラストの、トニーが墓穴を掘るオチまで、最高の映画の1つです。
だから、、、
1998年のリメイクの「ダイヤルM」は、ちょっと期待したんですけど、正直〜ヒッチコックの偉大さを、思い知らされただけの映画でした。
ヒロインのグウィネス・パルトロー。「セブン」から3年、健闘してましたけどね〜。
まぁ〜、、、
「ダイヤルM」は物語そのものは、冷静に考えると完全犯罪計画も稚拙だし、オチもそれほどのものでもないからねー。
ヒッチコックだから面白かった映画だったんだな〜と、思い知らされたリメイクでした。