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爺になって初めて観てみた、日本公開1952年のアメリカ映画「旅愁」。
私的に大好きな1971年の松竹映画「黒の斜面」の、元ネタは「旅愁」だったのか〜!と、ちょいと衝撃を受けた次第。
「旅愁」は、イタリアからアメリカに向かう飛行機にたまたま乗り合わせた女性ピアニストと妻子ある男が、ひょんな事から恋が芽生え、飛行機乗り継ぎに遅れた二人が乗る筈だったその飛行機が墜落。
二人は死亡した事になっちゃった。
一方、「黒の斜面」は妻ある男が愛人との別れ話がもつれ、出張で飛行機に乗る予定を変更し、再び愛人宅で一夜を共にしたら、乗る筈だったその飛行機が墜落。
男は死亡した事になっちゃった。
「旅愁」は、二人とも死んじゃった事になったんだから、これから新しい人生を二人で楽しもうというラブコメ。
一方の「黒い斜面」は、愛人との一夜が妻にバレてしまうので名乗り出ることができない男のサスペンス仕立ての差はありますが、おそらく 「黒の斜面」原作の菊島隆三氏は「旅愁」を観てるでしょうね。
菊島隆三氏の作品は、「野良犬」「蜘蛛巣城」「悪い奴ほどよく眠る」「用心棒」「椿三十郎」「天国と地獄」「兵隊やくざ」等、私も大好きな!映画が多く、大ファンなので 菊島隆三氏を揶揄中傷するつもりではありません。
全てのアートは模倣から始まる論者の自分が、(なるほどー)と納得しただけの話で、全体の物語は「黒の斜面」は、きっちり! 菊島隆三氏のオリジナルで「旅愁」とは展開もラストも異なります。
「旅愁」の妻子持ち役の男優はジョセフ・コットンは、オーソン・ウェルズとの共演で有名な「第三の男」「市民ケーン」、日米合作映画「緯度0大作戦」「トラ・トラ・トラ!」で日本でもお馴染みの方。
一方「旅愁」で妻子持ちの男と恋をするピアニストのヒロイン役はジョーン・フォンテインも、アルフレッド・ヒッチコックの「レベッカ」「断崖」で有名な女優です。
妻子持ちの男の妻役はジェシカ・タンディ。こちらもアルフレッド・ヒッチコックの「鳥」で、ちょいとマザコンぽいヒロインの陰険でヒステリックなママ役で、よく知られてる女優。
一方、「黒の斜面」の妻ある浮気男役は加藤剛氏、その妻役が岩下志麻さんで、ちょいと病的な今で言うメンヘラっぽい愛人役が市原悦子さん。
共に、なかなかの!役者揃いの名作なのです。
最後になりますが、1982年にTBS、1989年にフジテレビで「黒の斜面」はドラマでリメイクされており、1971年の松竹映画「黒い斜面」の当時の影響力、人気度がわかります。
そして、時が流れ「黒い斜面」もすっかり忘れ去られた2016年に、再び!今度はテレビ朝日系列で「黒い斜面」はドラマリメイク。
奥さん役を檀れいさん、愛人役を内田理名さん、主人公の男を原田泰造氏が演じてますが、ストーリーの基本は同じです。
が、新たな殺人事件が盛り込まれており、映画版「黒い斜面」の岩下志麻さんのような、ラストの「おっと!そう来たか」という衝撃は、檀れいさんにはなかったです。
檀れいさん演じた奥様は、良い人でしたから(笑)。