アルフレッド・ヒッチコック監督作品がボクは好きなのですが、思えば名作!「レベッカ」は1940年の作品。
日本公開は大東亜戦争突入間際だったので、「カサブランカ」含めこの当時の外国映画が皆そうだったように、敗戦から6年後の1951年に日本では公開。勿論、モノクロ映画の相当!古い映画です。
まぁ〜「レベッカ」の冒頭は、女の人なら誰でも大好きなディズニー映画、現代版「シンデレラ」。
ひょんな事から大金持ちのマキシムと出会ったホッパー夫人の、ただの付き人の「わたし」(ジョーン・フォンテイン)は、思いもかけずマキシムに求婚される、正に!「シンデレラ」物語です。
この冒頭で話しが終わってたら、ホッパー夫人の嫌さだけがにじみ出た「めでたしめでたし」話しですが、それじゃーヒッチコック映画にならない。
大邸宅に入ったシンデレラの「わたし」を待ち受けていたのは、全く今までの自分の世界とは違う、大勢の使用人に囲まれた慣れない生活。
社交界も何も知らない唯の使用人、平民だった「わたし」は肩身が狭いうえ、美しく気高く教養も芸術的センスも話術のセンスもあったと称賛され、誰もが崇拝し敬意を表する亡き前妻のレベッカが気になる。
何かとそんなレベッカと自分を、使用人達に比較されてるような「嫌〜な感じ」を受け、驚異と不安を感じる日々。
特に使用人のダンヴァース夫人は、この屋敷はレベッカ様のもの、あんたみたいな女はいらないとばかりの、わざと!の嫌がらせに、「わたし」はノイローゼ気味になっちゃう。
いや〜このヒッチコックの、「女の敵は女」の嫌〜な女の描き方、私は大好き(笑)。
が、しかし、映画「レベッカ」の凄みは、映画中盤過ぎてから!
「わたし」は、マキシムも未だレベッカを愛してる。今でも自分とレベッカを比べてると苦悩。その苦しい胸の内をマキシムに打ち明けると、実はマキシムはレベッカを愛してないどころか憎んでいた。
表向きは才色兼備の、外面も良い素敵な奥様だったレベッカの裏の顔は、ふしだらなケツの軽い女。マキシムの財産と名誉目当てだけで結婚した、よくいる性悪女だったとマキシムは「わたし」に告白。
このへんの突然!あっ!と驚く、それまでの周りの評価とは全く異なる真のレベッカの人間描写、ヒッチコックの真骨頂ですね〜。
更に!この後、レベッカの死は自殺か?他殺か?ってな、最後はサスペンス&ミステリーものに急展開になるんですから、この映画が面白くないわけがない!オチも秀逸です。
ジョーン・フォンテインとオリヴィア・デ・ハヴィランド姉妹は、日本の東京生まれ!
で、最後になりますが、この「わたし」を演じたジョーン・フォンテインの実際の姉は、こちらも名作!「風と共に去りぬ」でメラニーを演じたオリヴィア・デ・ハヴィランド。
イギリス人を両親に持つこの姉妹は、第一次世界大戦の日英同盟時代の日本の東京生まれ(1916年と1917年生まれ)と、日本に馴染みが深いんですね〜。
そして姉妹で名女優なのですが、この姉のオリヴィア・デ・ハヴィランドと妹のジョーン・フォンテインは、無茶苦茶!不仲姉妹女優で有名。
まぁ〜、この辺は第三者にはわからない肉親、姉妹ならではの色々な葛藤、確執があったのでしょう。
ちなみに、姉のオリヴィア・デ・ハヴィランドは、1939年の「風と共に去りぬ」でアカデミー助演女優賞にノミネートされましたが、アカデミー主演女優賞を受賞したのは1946年の「遙かなる我が子」でした。
一方、妹のジョーン・フォンテインは、1940年の「レベッカ」でアカデミー主演女優賞にノミネートされますが、姉より5年早く、1941年の「断崖」ではアカデミー主演女優賞を受賞してます。