
名作!「羊たちの沈黙」は1991年に上映され、見事!アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚色賞・主演男優賞・主演女優賞の5部門を受賞。
FBI訓練生クラリス・スターリングを演じたジョディ・フォスターは、1988年の「告発の行方」に次いで2度目の受賞で、私的にジョディ・フォスターはこの2本が特に好きです。
そして「羊たちの沈黙」から10年も経た2001年に、その続編の「ハンニバル」が製作。
監督がアカデミー賞を獲得したジョナサン・デミから、彼に当時ノミネートされた「テルマ&ルイーズ」で負けたリドリー・スコットに代わっています。


主役のクラリス・スターリングもジョディ・フォスターからジュリアン・ムーアに代わっており、ハンニバル・レクター博士のアンソニー・ホプキンスは続投。
アンソニー・ホプキンスはそれ以前も、それなりの役者として名を馳せていましたが、やはり誰もが描く彼の最大のイメージは、50歳を超えてからの当たり役!ハンニバル・レクター博士でしょう。
特に「ハンニバル」と、日本公開2003年の「レッド・ドラゴン」でも同じ役を演じたので、そのイメージは決定的になったと言えます。
で、原作のトマス・ハリスの作品の発表順は、1981年の「レッド・ドラゴン」が一番最初で、「羊たちの沈黙」以前の日本公開1988年に「刑事グラハム/凍りついた欲望」というタイトルで映画化されました。
「刑事グラハム/凍りついた欲望」でハンニバル・レクター博士を演じたのは、イギリス人のブライアン・コックスでしたが、この映画はヒットせず、レクター博士も話題になる事はありませんでした。
で、トマス・ハリス原作の「レッド・ドラゴン」の映画化権を取得したのが、イタリア出身の敏腕映画プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティス。
彼は前作の「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」が商業的にコケたので、「ドラゴン」というタイトルを封印。「レッド・ドラゴン」の映画は「Manhunter」とタイトルを変えて発表されました。
でも、この「Manhunter」=邦題「刑事グラハム/凍りついた欲望」も商業的にコケたので、トマス・ハリスの原作もハンニバル・レクター博士の名前の使用権利も、ディノ・デ・ラウレンティスは放棄。
なので、トマス・ハリスの続編「羊たちの沈黙」の映画化にディノ・デ・ラウレンティスは全く関わっていません。
ディノ・デ・ラウレンティスは、ヒット映画も多い有名な映画プロデューサーですが、トマス・ハリスのハンニバル・レクター博士登場4作品の中で、唯一!プロデュースしていないのが「羊たちの沈黙」。
でも「羊たちの沈黙」は大ヒット。 1992年のアカデミー賞主要5部門受賞の偉業も達成しちゃった。
先にトマス・ハリス作品とハンニバル・レクター博士を見つけたのは「俺なのに!」って思いが、当時のディノ・デ・ラウレンティスにあって当然でしょうね〜。
で、トマス・ハリスはハンニバル・レクター博士ものを4作品発表してますが、「羊たちの沈黙」が大ヒットした時点では「レッド・ドラゴン」と「羊たちの沈黙」の2作しか、まだありませんでした。
続編の「ハンニバル」を発表するのは1999年と、かなり時間が経ってますが、「レッド・ドラゴン」と「羊たちの沈黙」と違い、確実に!映画「羊たちの沈黙」が頭にあっての続編になったと思われます。
当然!「羊たちの沈黙」でしくじったディノ・デ・ラウレンティスが、名誉挽回とばかりに続編の「ハンニバル」の映画化権を取得!
で、ここで問題なのが、「羊たちの沈黙」でクラリス・スターリングを演じたジョディ・フォスターを映像で観たトマス・ハリスは、彼女に惚れてしまったそう。
なので、トマス・ハリスはハンニバル・レクター博士に自分の恋心を同化させ「ハンニバル」は書かれているので、レクター博士がちょいと恋狂いの変態エロ爺チックになっています。
ですから原作の「ハンニバル」のラストは、レクター博士に洗脳されたクラリス・スターリングが食人夫婦になってしまうという、映画「ハンニバル」とは全く異なるオチです(笑)。
当然、こんなオチの同じ役の続編に、天下の!ジョディ・フォスターが出演するわけもなく、クラリス役は、こちらも名女優ですが、わりとものわかりの良さそうなジュリアン・ムーアが決まります。
が、やっぱりこのオチには彼女も難色を示したとかで、トマス・ハリス、ちょいとカッコ悪いですね(笑)。

結局、オチは変えられ「羊たちの沈黙」の続編「ハンニバル」は発表。「羊たちの沈黙」と違いアカデミー賞にノミネートされる事はありませんでしたが、興行的には大ヒットしました。
するとディノ・デ・ラウレンティスは、興行的に失敗した「刑事グラハム/凍りついた欲望」のリメイクを発表。今回は原題通り「レッド・ドラゴン」として公開しています(日本公開は2003年) 。
当然、ここでもアンソニー・ホプキンスが、三度!ハンニバル・レクター博士を演じました。
そして、トマス・ハリスが2006年に発表した次作「ハンニバル・ライジング」は、レクター博士の少年時代のお話なので、アンソニー・ホプキンスはここでお役御免。
ディノ・デ・ラウレンティスは、2007年にこのアンソニー・ホプキンスが出演しない「ハンニバル・ライジング」も映画化しています。
2010年91歳で大往生したディノ・デ・ラウレンティスの、「ハンニバル・ライジング」は遺作になってますが、これだけ特に晩年はハンニバル・レクター博士に入れ込んでいた彼、、、
「羊たちの沈黙」だけ!関わってないのは、生涯、痛恨だったのではないでしょうかね〜。