荒木大輔投手最後の甲子園の早実は、1,2回戦は10点ゲームの圧勝だった!

 


1982年夏、全国高校野球選手権大会準々決勝第3試合、早実VS池田は、日本中の「大ちゃん」ファンの女の子達を池田が敵に回した(笑)試合でした。

試合結果だけ先に記せば、14対2で池田の圧勝!早実の大敗。

でも、ここまでの試合、優勝候補の早実は京都の宇治との1回戦を12対0。荒木大輔氏と小沢章一氏が本塁打を放つ圧勝でした。

背番号1のエース荒木大輔投手は、12点差もあるので9回には外野に周り肩を休め、背番号10の石井丈裕投手(後の西武ライオンズ)が登板する余裕の初戦突破。

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2回戦も早実は石川の星稜に10対1。板倉賢司氏が2本塁打上福元勤氏が1本の計3本塁打のこちらも圧勝!ここまで優勝校の早実に死角なし。5季連続甲子園出場の荒木大輔氏も投打ともに絶好調!

で、この夏の大会は春の選抜優勝校の大阪のPL学園も、準優勝校の東京の二松学舎も地方大会で負けており、春のベスト8進出で夏も連続出場してるのは早実と愛知の中京だけ。

 

この二校が優勝候補で、PL学園や近代付を大阪大会でやぶった、初出場なれど勢いのある春日丘がダークホースでしたが、春日丘は神奈川の法政二に敗れ二回戦敗退。

一方、中京と早実は順当に準々決勝に進出しましたが、早実は3回戦の山梨の東海大甲府戦は3試合目にして苦戦しています。

早実も点を取りますが、荒木大輔投手も序盤から点を取られ、早実3対2の僅差のリードの5回裏に、荒木大輔投手は東海大甲府の杉村司氏に同点ホームランを打たれ6回まで接戦。

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7回表に早実は、この大会3本目のホームラン(ツーラン)を板倉賢司氏が放ち、更に追加点を加え、荒木大輔投手も6回以降は0点に抑え、6対3と東海大甲府をふりきました。

が、今にして思うと、
連投になった翌日の荒木大輔投手の池田戦の滅多打ちの、この試合は予兆だったかもしれないですね(池田の畠山準投手は中1日空けられた)。


でも、池田は春の選抜出場もなく夏も3年ぶりの出場で、実は無印。おそらく蔦監督も池田ナインも当時の早実に勝てる、荒木大輔投手が打てるとは思ってなかったんじゃないでしょうかね〜?

後に荒木大輔氏は、東京で何度も戦い負けなかった西東京代表の日大二に、池田は4対3の接戦で3回戦に勝ち上がっているので、池田を甘く見ていたような事を述べてましたし。

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試合開始の1回表、打撃好調の早実はいきなり先頭打者の小沢章一氏が快音を放ちセンター前ヒット。

たらればですが、二番バッター三振、セカンド盗塁死のエンドラン失敗でチャンスを潰していなかったら、この試合は変わってたかも知れない。それほど早実は試合開始後はのびのびしてました。

はっきり、試合当初は池田に負けると早実は思ってなかったでしょう。

ちなみのこのセカンド盗塁死も、一度は塁審がセーフのポーズをする寸前、ランナーが一瞬足が離れタッチアウトでしたから、せめてセカンドにランナーが残っていればと東京者には悔やまれます。

1回裏の池田の攻撃。マウンド上の連投の荒木大輔投手は、それでも溌剌とした表情でピッチングを開始。

簡単にツーアウトを取ったと思ったらサードがエラー。そしてその後、よもやの!2年生の江上光治氏がライトに本塁打。マウンドの荒木大輔投手も早実ナインも「えっ!」という感じで表情が変わります。


勿論、前日の本塁打に続いて二試合連続の被弾ですから、甲子園やテレビの前の日本中の「大ちゃん」ファンの女の子たちも、悲鳴をあげた事でしょう。

結果的にこの試合、鉄壁だった早実の守備陣、3失策のうえ何だか中継ミスなどもありガタガタだったのは、この1回のツーラン本塁打ショックでだったと思われます。

2回裏の池田も長い攻撃で、二塁打2本の4安打1四球で荒木大輔投手3点を奪われ、試合は2回を終わって池田が5対0とリードの予想外の展開。荒木大輔投手、よもやの滅多打ち。

それでも天下の!荒木大輔投手は持ち直し5回を終わって5対0のまま、6回表に早実は反撃を開始。2点を奪い試合は5対2で、やや面白くなってきたのですが、その裏!再び荒木大輔投手が打たれます。

ツーアウトから江上光治氏に今日2本目のヒットを打たれ、そしてこちらも2年生の水野雄仁氏にセンターバックスクリーン横に特大のツーラン本塁打を打たれ試合はまた5点差の7対2。

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マウンド上の荒木大輔投手も試合開始後の溌剌とした表情は完全に消え、困惑してるのがありありで、これで試合は決まったも同然でしたが8回裏に打者一巡の再び池田の長い攻撃がやってきました。

二番手投手の石井丈裕氏から水野雄仁氏が今日2本目になる満塁本塁打を放ち、この回一挙7点。

結局、試合はそのまま14対2の大差で終了。甲子園の人気者、当時の日本一のアイドルスター荒木大輔氏の最後の夏、甲子園全国大会はこうして終了し、池田はそのまま勢いに乗り優勝。

最後になりますが、この池田VS早実の両ナインで、後にプロの世界に入ったのは6人。


有名な所ではドラフト1位の3名、池田の畠山準氏に水野雄仁氏に、早実荒木大輔氏。あと3人が早実から板倉賢治氏と上福元勤氏と、荒木大輔氏の控え投手の石井丈裕氏。

水野雄仁氏と共に強力打線の一角を担った江上光治氏は、池田卒業後は早稲田大学に進学しますが大きな活躍ができず、プロに入ることはありませんでした。

また、荒木大輔氏同様1年夏から5季連続甲子園出場を果たした早実小沢章一氏も早稲田大学に進学しましたが、肩を壊しプロ野球への道は絶たれています。

大洋ホエールズから3位指名の板倉賢治氏は、残念ながら1軍試合出場は5試合。ヒットなしの打率.000で引退。スコアラーとして球団に残りました。

読売ジャイアンツから6位指名された上福元勤氏は一軍登録なしで引退し、2007年に直腸がんで他界(41歳)。前出の小沢章一氏も、2006年に肝臓がんで41歳で他界されてます。

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石井丈裕氏は法政大に進学しますが、ここでも後に阪神タイガースからドラフト1位指名される堀越出身の猪俣隆氏の二番手投手で、大学通算8勝4敗(猪俣隆氏は20勝7敗)。

そんな石井丈裕氏は、プリンスホテルに入社してから才能が開花。畠山準氏と荒木大輔氏のドラフト1位指名から6年後の1988年のドラフトで、西武ライオンズに2位指名を受けています。

石井丈裕氏はプロ通算68勝52敗10S。ヤクルトスワローズに1位指名された荒木大輔氏は、怪我に泣かされたこともありプロ通算39勝49敗2S。

読売ジャイアンツに1位指名された水野雄仁氏はプロ通算39勝29敗17Sと、最もプロ入りが遅れた荒木大輔氏の控え投手だった石井丈裕氏が、プロでは最も良い成績を残しています。

南海ホークスから1位指名された畠山準氏は、投手としてはプロ通算6勝18敗で、後に野手に転向。1999年までプロ野球選手として活躍(通算483安打、本塁打57本、打率.255)。

プロ指名のなかった早実のキャッチャー、松本達夫氏は早稲田大を卒業後に日本テレビに入社。2023年現在、日本テレビ放送網取締役執行役員コンテンツ制作局長。日テレアックスオン非常勤取締役です。

誠に皆様、『人生色々』を感じさせられます。