刑事コロンボ、記念すべき第一作目「殺人処方箋」は何かと深いな〜

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名作!「刑事コロンボ」の記念すべき第一作、「殺人処方箋」は1968年2月にアメリカでテレビ放映されています。

犯人役の精神科医のレイ・フレミングを演じたジーン・バリーは、1953年の「宇宙戦争」の主役を演じ名を馳せたハリウッドスターですが、その後はテレビシリーズの「バークにまかせろ」の主演でも有名。

殺害される奥様役、キャロル・フレミングを演じたニナ・フォックも大作映画「十戒」や「スパルタカス」にも出演していた、ベテランのハリウッド女優でした。

そして、レイ・フレミングの友達の地方検事役のウイリアムウィンダムもハリウッドスターで、同年フランク・シナトラリー・レミックジャクリーン・ビセット出演の映画「刑事」にも出演しています。

というわけで「刑事コロンボ」は記念すべき第一作から、コロンボ役のピーター・フォークしかりで、ハリウッドスター達によるテレビ映画でした。

で、今更ながらこちらの「殺人処方箋」を改めて観てみると、オープニングに「Columbo」の文字がないのに驚きます。タイトルは「Prescription · Murder」=処方箋・殺人としかクレジットされてない↓。

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結果的に、のちに「刑事コロンボ」としてシリーズ化したので、特に日本ではそのシリーズ第一作として1972年にNHKで放映されてますが、元々はこのテレビ映画は「刑事コロンボ」ではかなったと。

あの!刑事コロンボは、小説や脚本を書いていたリチャード・レヴィンソンとウィリアム・リンクが創作した、戯曲「Prescription · Murder」に登場する警部役がオリジナル。

だから!「Prescription · Murder」がテレビ放映された時、タイトルに「Columbo」の文字がないのは当然と言えば当然で、調べて妙に納得した次第。

 

更に音楽担当は、1970年代後半、世界的なフュージョンブームで名を馳せる前の、ピアニストであり編曲家である、30代だったとはいえ当時は新進気鋭だったデイヴ・グルーシン


なので、実際にこの「Prescription · Murder」=「殺人処方箋」が放映されてから、「刑事コロンボ」として連続放映になるまで3年もかかっているので、当初は単発テレビ映画だったのがよくわかります。


まぁ〜「Prescription · Murder」=「殺人処方箋」は、元々は人気のブロードウェイの舞台劇だったそうで↑、舞台でコロンボ警部を演じていたのはトーマス・ミッチェル。

この方は、不朽の名作「風と共に去りぬ」で、ヴィヴィアン・リー演じるスカーレット・オハラのパパを演じていた方で、ジョン・ウェインの「幌馬車」ではアカデミー助演男優賞も受賞してる名優です。

そして舞台での犯人役は、こちらも名優!「市民ケーン」「疑惑の影」「第三の男」等でお馴染みのジョセフ・コットン。

更には、殺害される犯人の奥様役がアグネス・ムーアヘッド。後の、あの!人気テレビドラマ「奥様は魔女」のサマンサのママ!という、なかなかの豪華版です。

そんなジョセフ・コットンは1969年の日米合作特撮映画「緯度ゼロ大作戦」にも出演し、日本の宝田明氏や岡田真澄氏と共演しています↓。

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というわけで、舞台でコロンボ刑事を演じたトーマス・ミッチェルは1892年生まれで、既に他界していたので、テレビ映画化時は代わりを探さなければならなかったわけです。

また、トーマス・ミッチェルがコロンボ警部を演じた時は、既にご老人だったので、原作者のリチャード・レヴィンソンとウィリアム・リンクは、テレビ映画でも年寄りの俳優を当初は想定していたとか。

彼らの頭の中にあった候補はリー・J・コップ、ピンク・クロスビーだったそうですが、「殺人処方箋」の監督をつとめたリチャード・アーヴィングがピーター・フォークを推したとか。

トーマス・ミッチェルとピーター・フォークは、グレン・フォードベティ・デイヴィス主演の「ポケット一杯の幸福」で共演してるので、関係各位もピーター・フォークを知らないわけはなかったでしょう。

老人ではない中年のコロンボ警部が誕生したのは、こんな経緯のようです。

ちなみにリー・J・コップは、のちに大ヒット映画「エクソシスト」の刑事役で、非常にコロンボっぽいコミカルな演技をしていると感じますが、時はコロンボ大ヒット中。何か思う所があったのでしょうか。

というわけで、「殺人処方箋」のコロンボ警部は、お馴染みの髪の毛ボサボサではありません。ちゃんと髪は整えてます。コートは着ていてもヨレヨレではありません。

が、その後のマヌケを装い犯人の深層心理を鋭くつくキャラは、既に出来上がっていますね。

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結局、「殺人処方箋」は、犯人の精神科医のレイ・フレミングが狡猾で図太く難攻不落でしたが、アリバイ工作に利用した愛人が、不安で心臓バクバクで弱かったところをコロンボは見逃さなかった。

という物語で、私的にはこの犯人の愛人役を演じたキャサリンジャスティス↑は、かなりタイプなのですが(笑)、この方、美人だけあってよっぽど良いパパか?旦那でも早いうちに見つけたのかしら?

その後、映画、テレビで活躍したという情報がないですね〜。

で、繰り返しですが、ブロードウェイの戯曲のテレビ映画化の「殺人処方箋」放映から、刑事コロンボとしてのパイロット版「死者の身代金」放映まで、なんと3年強もかかってます。

また「死者の身代金」放映から、約月1回放映になるまで半年強かかっており、やはり刑事コロンボは、犯人のゲストスターの豪華さは勿論、最初からテレビ映画というスタンスで製作されていたようです。

第一シーズンは、あの!スティーブン・スピルバーグの記念すべき第一作品になった「構想の死角」から7作放映されましたが、第二シーズンまで再び7ヶ月強放映は止まってます。

このローテーションは1978年の5月で放送終了する第七シーズンまで同じで、随分と大事に撮られたテレビ映画なのがわかります。

日本では1972年8月から1979年1月まで、かなり不定期にNHKで放映されましたが大人気になりました。

 

というわけで「刑事コロンボ」は、日本でも1970年代を代表する人気作、名作です。