キャロル のセカンドアルバム「ファンキー・モンキー・ベイビー」が、批評家たちの選ぶ古のロック名盤にでない不思議!その2

 

昨日の続き

ちなみに近年の内海利勝氏のYouTubeチャンネルで、デビュー当時のキャロル に対し、当時の不良の溜まり場的な店で有名だった、新宿歌舞伎町の「サンダーバード」でも、、、

「おまえら今時R&Rなんてやってて、バカじゃねえの」と言われたと、内海利勝氏は述べてます。

映画「アメリカン・グラフィティ」が日本でヒットした1975年、キャロル が日比谷野音を火事にしちゃった解散ライブの1975年以前の、R&Rの扱い、評価なんて、こんなもんだったんです。

そしてその内海利勝氏も、例えばダウン・タウン ・ブギウギ ・バンドの蜂谷吉泰氏や和田静男氏のような、典型的ブルースロックスタイルのギターは弾いてない。

さりとて典型的なR&R、ロカビリースタイルでもない。コピーした方ならわかると思いますが、内海利勝氏は、かなりワンアンドオンリーの奏法です。

ジョニー大倉氏のリズムギターも、とてもグルーヴィングだし、あの声を模倣するのも容易じゃない。相当!歌の上手い人を入れないと、やっぱり残念ながらキャロル のコピバンは、下手に聴こえてしまう。

勿論!矢沢永吉氏のベースフレーズを、弾きながら矢沢永吉氏のように歌ったりハモったりするのは、聴くとやるとでは大違い!至難の技です、、、。

なので、矢沢永吉氏の歌もベースも大好きだから、本格的にキャロルのコピバンやりたいと思ってるオヤジがいたら、かなりメンバー集め苦戦すると思いますねー。

ザ・ビートルズ のコピバンが、実はかなり他のジャンルでも演奏力の高い人がやらないと、やっぱりカッコよくない。

けっしてザ・ビートルズ は初心者向きのバンドではないのは、今や浸透してるようですが、これはキャロル もしかり!と私は声を大にして言いたいです。

稀代のメロディーメーカー、若き矢沢永吉氏のバラードの秀逸さ!

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で、話をアルバムに戻して、矢沢永吉氏のメインボーカル2曲に続いて「レディ・セブンティーン」「コーヒーショップの女の娘」と、ジョニー大倉氏の甘い歌声が続きます。

そしてハーモニーが美しい、バラード系の「恋する涙」。

前出の「ザ★べスト」に、アルバム「ファンキー・モンキー・ベイビー」から入ってないのは、こちら「恋する涙」と、B面3曲目の「いとしのダーリン」の2曲です。

私的には「恋する涙」、内海利勝氏のギター、とても良いと思うし良い曲だと思うんですけどねー。

2曲ともメインボーカルも矢沢永吉氏なのに、客観的にプロデューサー「矢沢」が、有名なセリフ「俺はいいけど矢沢が何て言うかな?」という感じで選から落としたのでしょうね〜。

で、A面ラストの「二人だけ」。私的にキャロル のバラード、いや、ソロ作品含め稀代のメロディメーカー!矢沢永吉氏作曲のバラードの中で、一番好きなナンバーです。

当時レコード、LPで聴くと、ここで裏面にかえる作業が発生するので、この後、しばししんみりできました。なので「ファンキー・モンキー・ベイビー」のA面は、並びも素晴らしいのです!

そしてB面にひっくり返して針を落とすと、「二人だけ」の余韻もまだある中、矢沢永吉氏の歌う、こちらもバラードの「愛の叫び」。

この一連の流れのA面をひっくり返してB面を聴くまでの暫しの間、絶妙な間は、レコードならではだったなーと、つくづく思う今日この頃。

そして続いてもバラードで、ジョニー大倉氏の歌唱が美しい!「ハニー・エンジェル」。うーん、やっぱり矢沢永吉氏の作るバラードは、和製ふぉーく系含め当時の日本人ミュージッシャンの中では異端。

なんたってメジャーキーのバラードですから(笑)。特に和製ふぉーく系で売れたバラードがそうですが、ほぼ!あちらはマイナーキーでしたから。

つのだ☆ひろ氏の「メリー・ジェーン」しかり、日本人は、日本人の琴線に触れるのでしょう、せつないマイナーキーの曲が大好きです。

だから、「二人だけ」にしろ「愛の叫び」「ハニー・エンジェル」にしろ、メジャーキーでのバラード、それも秀作というのは、この当時はキャロル時代の矢沢永吉氏の作品しか、なかったんじゃないかな?

その後、天才!山下達郎氏が、メジャーキーのバラードの名作、秀作を多々発表してますけど。

キャロル サウンドは、実は幅広かった!

 


そして前出の「ザ★べスト」の選にもれた「いとしのダーリン」から、既にこちらもシングル発売されてた「彼女は彼のもの」と、ポップでキャッチーな曲が続き、問題の(笑)「ミスター・ギブソン」。

「ミスター・ギブソン」は最初聴いた時、キャロルっぽくないナンバーだと思いましたね。理由は簡単で、キーボードが入ってるからです。

キャロル得意の、ツインギターアンサンブルじゃない曲は、当時は珍しかったのですが、キーボード誰が弾いてるのか?明記がないんですよね(多分、外部のミュージッシャンだと思いますが)。

あと、コードがこれ9thだったら、♪たったったったった あ〜  のリズム、JBS'の「ドゥ・イング・イット・トゥ・デス」っぽくも感じるファンキーな曲。

どっちかというと、キャロル というより、矢沢永吉氏のソロになってからの曲っぽいです。

しかし、矢沢永吉氏のベース、効いてますねー。カッコいい!また全体的に言えますが、ユウ岡崎氏のドラムが、かなり良いですね〜。

そしてラストは、シングル「ファンキー・モンキー・ベイビー」の1ヶ月前、シングルA面で発売された「0時5分の最終列車」。

こちらはシングルヒットしませんでしたが、アルバム最後を締めるにはうってつけの、キャロルがいかにコーラス、ハーモニーが上手いバンドだったか、わかる曲!

基本的にキャロルは、編成が同じということもあり、初期のザ・ビートルズサウンドを感じさせてくれるバンドでしたが、「0時5分の最終列車」と「緊急電話」は、中期ザ・ビートルズ を感じますね。

そう、キャロル よりちょっとデビューが早かった、当時のチューリップに近い中期ザ・ビートルズサウンドに近いです。

衣装は違ったけど、キャロルとチューリップのルーツは、ともにザ・ビートルズだった!

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されどもチューリップが、音質もザ・ビートルズ により近づけようとしてたので、それが分かりやすかったのに対し、キャロル は、やっぱりジョニー大倉氏も内海利勝氏も、ギターの音が独自。

ザ・ビートルズサウンドではないので、その辺はチューリップよりちょいとわかりずらいですね。

まぁ〜ジョニー大倉氏の著書によると、矢沢永吉氏はリーゼントに最後まで反対だったそうで、矢沢永吉氏は、本当はチューリップみたいな髪型・ファッション でデビューしたかったのだと思います。

ちなみに革ジャン&リーゼント発案は、公式デビュー前のザ・ビートルズ を真似たジョニー大倉氏で、内海利勝氏もリーゼントは嫌だったと述べてますから、、、

もし!キャロル があのスタイルでなく、普通に長髪・ラッパのGパンでデビューしてたら、矢沢永吉氏の人生、評価ってまた違ってたかもしれませんし、ファン層も変わってたかもしれないですねー。

というわけで、アルバム「ファンキー・モンキー・ベイビー」は、当時の商業的には、絶望的な日本のニューロックシーンの中で、唯一!ちょっと売れたアルバム で、これは当時、本当に事件でした!

そしてこの少し売れたことが、結果的にバンド崩壊の始まりになったのは、誠に皮肉な事でした。

ジョニー大倉氏の著書によると、ジョニー大倉氏は、デビューから約半年で、シングル7枚、アルバム2枚だし、そのレコーディングの合間にテレビ出演、そしてライブ活動と、突っ走ってきたから、、、

売れたんだから、少し休みたかったそう。

一方、矢沢永吉氏にしてみたら、やっと売れたんだから、このチャンスに「もっと!」売れようと思っていたでしょう。二人の「仕事観」が、ここで違って来てしまった。

なんと!キャロル は、せっかく「ファンキー・モンキー・ベイビー」が、シングルもアルバム も、少しは売れたのに、次のシングルを発売するのは、7ヶ月強先で、オリジナルアルバム は丸々1年先、、、

まぁ、このへんのキャロル の失速については、こちらでということで、、、、

というわけで、アルバム「ファンキー・モンキー・ベイビー」は、日本ロック史に残る!名盤である!と、誰も言わないのでボクが言った!(笑)、還暦超え爺2年生の能書きでした。