「キャロルでいいんじゃない?どうせ、みんな3コードで簡単だし」
手始めに何か曲をやろうと集まった時、こんな事言うバンマスのバンドに、大昔入ってたことがありますが、ボクは(こいつキャロルをコピーしたことねーな)って、すぐバレましたね(笑)。
だって、メロディメーカー矢沢永吉氏のキャロル時代の楽曲に、3コードのR&Rはないから。
このバンマス、自分はクラシック畑の人間だけど、皆さんに合わせて、ロックなんてもんも、やってやってもいいよ的な、上から目線の生意気な奴で(笑)、、、
結局、最後までそのクラシック畑らしい演奏を、残念ながら一度も!聴くことはなかったのですが(笑)、この阿呆でターへーなバンマスに限らず、キャロルサウンドを誤解してる人、巷の爺婆に多いので、、、
ちょいと僭越ながらキャロルサウンドと、メロディーメーカー矢沢永吉氏が、如何に!凄いか!解説したいと思います。
キャロルで最も有名な曲、「ファンキーモンキーベイビー」。
チャック・ベリーに代表される、R&Rの定石ギター奏法を、内海利勝氏が歌メロの伴奏で駆使してます。
弾ける弾けないは別にして、キャロルをコピーしようとした事のある人、ない人はすぐわかる!
なので、全く楽器をやらない人より、ちょっとギターをかじった人だとそれがわかるので、勘違いするわけですが、「ファンキーモンキーベイビー」は、普通のR&Rやブルース進行ではありません。
内海利勝氏の歴史的なギターソロ解説は後にして、「ファンキーモンキーベイビー」の歌い出しは、Eコードからはじまります。
R&R、ブルースの定石だと、トニックのEからこのあとサブドミナントのAにいくわけですが、「ファンキーモンキーベイビー」は、行きません(笑)。
トニックのEの次はドミナントのBに行き、そしてF♯mを弾いてから、サブドミナントのAに行きます。
なので、歌い出しのメロハモから、「ファンキーモンキーベイビー」を、普通のR&Rと同じなんて思ってると、弾けないようになってます(笑)。
だ・か・ら!、、、
1回でも「ファンキーモンキーベイビー」を、コピーしてみようと思ったことがある人なら、この曲は3コードのR&Rではないと、一発でわかるわけです。
これ「ルイジアンナ 」もしかり。
だから、キャロルは3コードで簡単とか言ってるおっさん、爺さんは、実は一度もキャロルをコピーしようとしたことがない、わかってないことすらわかってないまま年くった、インチキ親爺、嘘つき爺さんです(笑)。
キャロルの曲は、特にコードやコード進行が難しいわけではない。
まぁ〜サビで、もう1つ!C♯mが入ってますが、「ファンキーモンキーベイビー」は、それこそボク等世代だと中学時代「女にモテようと思って」アコギを持って、明星とか平凡の「歌本」で、かぐや姫や吉田拓郎氏の曲で、コードを覚えた人でも、、、
FとB♭の壁を突破した人なら!!(笑)、
今でも弾けるコード、そしてコード進行で、別にジャズで使うテンションコードとか入ってるわけでもないので、そういう意味での難しいコードとか、厄介なコード進行という意味ではありません。
ただ、通常のR&R、ブルース進行じゃ「ファンキーモンキーベイビー」は、弾けないですぜって話。
更に後半、半音転調してるし、、、
だから、短い曲ながら「ファンキーモンキーベイビー」は、いざ演奏すると気が抜けない(笑。気を抜くな!って話ですが)。
更に、このキャロルはコーラス、ハーモニーが、また至難の技で、矢沢永吉氏もジョニー大倉氏も、シンガーとして相当な力量の持ち主。
グルーヴ溢れる演奏しながら歌ってハモるって、かなりハードルが高いのは、キャロルのコピバンやってる人たちや、キャロルの曲を弾き語りした経験のある人なら、わかると思います。
キャロルは実は、あの雰囲気を再現するのは、かなり!難しいバンド。
これザ・ビートルズもしかりで、基本的な演奏力がないと、とても下手に聴こえちゃう、けっこう恐ろしいバンドです。
特に矢沢永吉氏のベースフレーズを弾きながら、ベーシストが「ファンキーモンキーベイビー」を歌うのは、かーなり大変です。
何故?ファンキーモンキーベイビーのリードギタープレイは、印象的なのか?
で、内海利勝氏の歴史に残るリードギタープレイ!何故?あのギターフレーズは、人々の心に印象に残ったのか?
日本人でも、歌いやすいフレーズだからです。
これもR&R奏法、ブルース奏法、チョーキングなどを内海利勝氏は駆使してるので錯覚されがちですが、「ファンキーモンキーベイビー」の有名なギターソロフレーズは、普通にメジャースケール。
R&Rやブルースでよく使われる、ブルーノート・ペンタトニックスケールではありません。
私的には、特に楽器をやらない日本人には、このブルーノート・ペンタトニックスケールは、耳に馴染みにくいスケールだと、ボクは思ってます。
でもメジャースケールなら、小中の音楽の授業から誰でも馴染んでるので、覚えがいい。誰もが、口ずさみやすい。
だから、「ファンキーモンキーベイビー」のリードギターフレーズって、メジャースケールだから、誰もが耳に馴染みやすく、口ずさみやすいんですねー。
が、しかし、、、
この誰もがご存知のメジャースケール、一歩間違えると「臭い」フレーズになる(汗)、、、
なので、このへんは演者のセンスとしか、言いようがないので、R&Rギターに聴かせた内海利勝氏、本当に万歳です!!
だから、、、
「ブルーノート・ペンタトニック」のブルージーでロック的なフレーズが得意な人でも、メジャースケールが臭いから好きじゃない人は、「ファンキーモンキーベイビー」のギターソロは、ちょっと練習しないと、弾けないようになってます(笑)。
キャロルはパブリックイメージと、楽曲のイメージが異なるバンド!
というわけで稀代のメロディメーカー!矢沢永吉氏の楽曲は、キャロル時代から、かなりポップでキャッチーな曲ばかり。
なので、リアルタイムを知らず「伝説」と風貌で、キャロルにパンキーさを求め、後追いでキャロルをCDで聴いた女性に、もっとワイルドな曲が多いと思ったのに「がっかりした」と、言われた経験がボクはあります。
そう、キャロルは案外、バラードとポップな曲が多いし、詞も内省的なそれが多い(ジョニー大倉氏の性格だと思います)。
正直ストレートなR&R、パンクノリをキャロルに期待してCDを買うと、後追いの方は裏切られます(笑)。
で、最後になりますが、例え3コードでも、R&Rはグルーヴを出すのは容易ではないですし、その昔のロカビリーのプレイヤーは、元々はジャズやブルース、C&W奏法を身につけていた人達。
ジェフ・ベックが習得したギャラッピング奏法しかり、案外、R&Rのギターは難しかったりしますし、もちろん、ブルースも甘くはない。
だから、こういう使われてるコードの数だけで、その楽曲の優劣を語るのは、間違ってるんですね。
もしそれで優劣が決まるなら、チャック・ベリーの「ジョニーBグッド」より「ファンキーモンキーベイビー」の方が、使ってるコードは多いから、秀逸論になりますが、、、
こんな事で楽曲の優劣つけてる音楽家、まずいないですから(笑)。