「刑事コロンボ」では珍しい、最後まで犯人がわからない「さらば提督」

 

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刑事コロンボ」シリーズには珍しい、最初に犯人や犯行の手口を観る者に明かす、コロンボシリーズお馴染みの倒叙(とうじょ)ミステリーではないのが、1976年作品の「さらば提督」。

ですから「さらば提督」は、コロンボも観てる者もラストまで犯人がわからない。

で、

ゲストのロバート・ヴォーンは、1974年に当時のオールスター映画「タワーリング・インフェルノ」、1975年に同じ「刑事コロンボ」の「歌声の消えた海」に続いての出演になっています。

そして、殺害された提督の娘婿役のロバート・ヴォーンの奥さん、提督のアル中のバカ娘役がダイアン・ベイカー。


この方は1990年の映画「羊たちの沈黙」で、誘拐された女性のママ&女性議員役と言えば、かなりの人はわかるでしょう。なかなか豪華なゲスト陣です。

「歌声の消えた海」でのロバート・ヴォーンは、倒叙ミステリーなので最初から犯人だと分かりましたし、名前と顔の格から言って「さらば提督」でも犯人かと冒頭は匂わせるのですが、これが違う。

他の刑事コロンボシリーズと違い、匂わせてるだけで犯行を観る者に見せていないので、「さらば提督」はシリーズ中、最も変わった作品と言えます。

というわけで、この「さらば提督」、コロンボ警部は最初の推理、見事に外すんでるねー。これもコロンボシリーズの中では斬新!

容疑者がとても多いのも他のミステリーっぽくて、最後は容疑者全員を一同に集め、コロンボの謎解きという、まさに!アガサ・クリスティ名探偵ポワロパターンです。


おそらく製作の時期的に、アガサ・クリスティ原作、1974年の世界的ヒット映画「オリエント急行殺人事件」の影響を受けているのでしょう。

新米刑事のマックは、ポワロにちょいとバカにされるヘイスティングズって感じですし、この回のコロンボは、何時ものマヌケを装いつつ犯人を追い込んで行くあれではなく、ちょいとポワロっぽく高飛車。

まぁ〜普段のコロンボとは、ちょいと違うので、あの!コロンボが好きな方は、イマイチ感のある物語だと思われます。

が、コロンボ版、アガサ・クリスティ&エルキュール・ポワロと思ってみれば、それなりに楽しめる作品が「さらば提督」。