江川卓投手は、日本シリーズを制したのは一度だけだった








江川卓氏は1979年から1987年までの9年間、読売ジャイアンツで活躍し、リーグ優勝は3回。1981年、1983年、1987年の3度、日本シリーズで投げています。

まず1981年の最初の日本シリーズの相手は、日本ハムファイターズ

この年の江川卓投手の成績は2年連続最多勝の20勝6敗。勝率.769で最高勝率、防御率2,29で最優秀防御率、221奪三振で2年連続奪三振王の投手4冠の絶頂期でした。

第一戦の読売ジャイアンツの先発は、当然!その江川卓投手でしたがピリッとせず 、1,3,4,6回に1点ずつ取られ6回を投げ8安打4失点(自責点4)。試合は4対0で日本ハムリード。

ところが日本ハムの先発、元ジャイアンツのこの年14勝の高橋一三投手が7回に崩れ、更にリリーフの「優勝請負人」、セーブ王(25)の江夏豊投手が攻略され8回に同点になったところで、江川卓投手の負けはなくなっています。

結局、試合は5対5から9回裏に日本ハムジャイアンツのリリーフエース、角盈男投手を攻略して6対5のさよなら勝ち。

角盈男投手もこの年は20セーブのセリーグセーブ王でしたが、双方リリーフエースが打たれる波乱の第一戦でした。

第二戦は江川卓投手と並ぶ両輪、シーズン18勝の西本聖投手が日本ハム打線を2安打1失点に抑え、2対1でジャイアンツが勝ち、これで1勝1敗。

この年15勝0敗で負け知らずだった日本ハム間柴茂有投手は、7回まで要所を抑えるピッチングでしたが、8回につかまり2失点。この年初めて負け投手になりました。

第三戦は定岡正二投手が打たれ、日本ハムは三戦連投のリリーフの工藤幹雄投手が第一戦に続いて勝利投手になり2勝目。江夏豊投手に初セーブがついており、これで日本ハムの2勝1敗。

そして第四戦は再び!江川卓投手が雪辱をかけ先発し、6安打2失点(自責点2)の完投で、8対2とジャイアンツが勝ち、2勝2敗のイーブンに戻しています。

第五戦は、日本ハムは再び高橋一三投手が先発しますが打ち込まれ、好調の西本聖投手が13安打を打たれますが完封に抑え9対0のジャイアンツ圧勝。西本聖投手はこれでシリーズ2勝目。

3勝2敗と王手をかけたジャイアンツの先発は、3度目の登板の江川卓投手。もし江川卓投手が打たれても、次はシーズン2勝!絶好調の西本聖投手がいるので、ジャイアンツは余裕だったと思われます。

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ジャイアンツ打線は、再び先発の間柴茂有投手を攻略。江川卓投手は9安打3失点(自責点1)で完投し、6対3でジャイアンツ優勝!

江川卓投手は胴上げ投手。ジャイアンツも1973年のV9最後の年以来の8年ぶり日本一に輝きましたが、MVPは同じ2勝でも、防御率0,50の西本聖投手が受賞し、3試合登板の江川卓投手は優秀選手賞にとどまりました。

それにしてもこの年のパリーグの覇者、大沢啓二監督率いる日本ハムファイターズは強力で、ソレイタが44本塁打、108打点で2冠王。島田誠氏が首位打者落合博満氏に続く打率2位(.318)。

投手部門でも岡部憲章氏が防御率2,70で最優秀防御率賞、間柴茂有氏が15勝0敗の勝率10割で最高勝率、江夏豊氏が28セーブで最多セーブ投手と、首位打者最多勝以外のタイトルを独占していました。

まぁ〜それ以上に、江川卓西本聖両投手が正に!全盛期で、もっと凄かったという事なのでしょう。

そして江川卓投手二度目の日本シリーズは2年後の1983年。相手は前年中日ドラゴンズをくだして日本一に輝いた、広岡達朗監督率いる西武ライオンズ

第一戦のジャイアンツの先発は、この年シーズン16勝の江川卓投手でしたが、3年連続の奪三振王もこの年は途切れ、防御率も入団5年目で初の3点台と、天才・怪物の影が少し薄くなりつつありました。

そんな江川卓投手は1回に1点取られると、2回には田淵幸一氏に豪快なスリーランホームランを打たれ2回6失点(自責点5)のノックアウト。


西武は先発の松沼博投手が6回にジャイアンツ打線につかまりますが、エース東尾修投手が4回のロングリリースで6対3と先勝しました。

第二戦はシーズン15勝の西本聖投手が西武打線を4安打完封に抑え、ジャイアンツが4対0と勝利し、これで1勝1敗。西本聖投手はこれで日本シリーズ通算3連勝!

第三戦は8回表を終わって4対2と西武リードで迎えた8回裏のジャイアンツの攻撃は、再び4回からのロングリリーフになった東尾修投手から、クルーズが本塁打を放ち1点差。

更には9回に東尾修投手を4連打と打ち込み同点、逆転サヨナラ勝ちでジャイアンツの連勝。ジャイアンツの2勝1敗になりました(勝ち投手はリリーフの加藤初投手)。

第四戦は再び、これも雪辱をかけての江川卓投手先発でしたが、6回を投げ10安打3失点と、どうもこのシリーズの江川卓投手はピリッとせず、江川卓投手に勝ち負けはつきませんでしたが二度目の先発失敗。

試合は7対4で西武は勝利し、負け投手はリリーフの加藤初氏。西武が2勝2敗のイーブンに戻しています。

そして第五戦は日本シリーズ絶好調の西本聖投手が、また!6安打2失点(自責点1)の完投。2対2の9回裏にクルーズがさよならスリーランを放ち、ジャイアンツが5対2で勝利(負け投手、森繁和投手)。

 

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西本聖投手、これで日本シリーズ4連勝(全て完投)と絶好調でした。

3勝2敗と王手をかけたジャイアンツは、1対2から9回表に2点をとり3対2と逆転。あと3人をアウトにすればジャイアンツは日本一ですから、当然リリーフは絶好調の西本聖投手。

ところが!4安打集中打を浴び西武土壇場で同点に追いつき、10回裏にはリリーフに出た江川卓投手も攻略して4対3と西武逆転。江川卓投手はこのシリーズ2敗目を屈しています。

さて中1日をおいた3勝3敗での第七戦、ジャイアンツの先発はそれでもシリーズ2勝の西本聖投手。

6回まで快調に0点に抑えていた西本聖投手に、こたえるようにジャイアンツ打線も2点をとり、7回表を終わって2対0とジャイアンツリード。

ところが頼りの西本聖投手、7回裏に西武打線につかまり5安打を打たれ3失点。西武が3対2と逆転しました。

7回からマウンドに上がっていた西武のエース!東尾修投手をジャイアンツ打線は打てず、そのまま3対2で西武が勝ち、2年連続日本一に輝きました。

江川卓投手、この西武との二度目の日本シリーズ、全く良いところがありませんでした。 

そして江川卓投手最後の日本シリーズになった1987年は、既にシーズン終了後に引退発表をしていたこともあり、この年の西武ライオンズとのシリーズ先発は、1勝1敗後の第3戦。 

ところがこれが、8回4安打2失点(自責点2)のナイスピッチングでしたが、 ジャイアンツ打線が西武先発の郭泰源投手が打てず2対1で負けてしまったので、江川卓投手は負け投手になっています。

 

江川卓投手は、日本シリーズ通算成績は2勝3敗。


結局、このシリーズは西武ライオンズが4勝2敗とジャイアンツをくだし2年連続の日本一に輝きましたが、江川卓投手の公式戦の最終登板はこのシリーズ第三戦になります。

シーズンも13勝5敗で引退宣言。 日本シリーズも先発して8回4安打2失点(自責点2)のナイスピッチングでも負け投手。なんとなく江川卓投手らいしと言えばらしい、有終の美を感じる現役引退でした。