1968年に発表されたザ・ローリング・ストーンズの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」。
見事!全英チャート1位、全米ビルボードチャート3位を獲得し、今もストーンズの代表的なナンバーですが、このテイクは思うところが色々ある爺です。
まず、ドラムのチャーリー・ワッツは何故?リズムキープのみで、おかずを入れなかったのか?
1968年と言えばクリームのジンジャー・ベイカー、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリアンスのミッチ・ミッチェルが登場し、ド派手なドラミングを聴かせてロックファンに高く評価されていた時期。
なのに、チャーリー・ワッツは全く彼らに対抗心を持ってないのが逆に凄いな〜と。
また、プロデュースのジミー・ミラーも他のストーンズのメンバーも「チャーリー、もっと派手に行こうぜ!」と何故?言わず思わず、この演奏テイクでOKしたのか?
結果、有名無名問わず「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」を演った事が一度もないロックバンドは、そうはいないと思いますが、だいたいその演奏はカッコ良すぎちゃう(笑)。
ドラムが普通におかずを入れるし、ギターもソロをギンギンに入れるので、だいたいジョニー・ウインターヴァージョンぽいサウンドになり、そして皆、それで満足するわけです。
ですから、オリジナルのストーンズヴァージョンに近い演奏というのは、ま〜ずない。
だからストーンズヴァージョンのこのシンプルなのに、妙〜に!いつ聴いても不思議な高揚感のあるサウンドは、実はなかなか真似されないし、真似しようという動機がプレイヤーに生まれずらい。
イントロからベースがかなり効いてるサウンドですが、これはキース・リチャーズが弾いており、ビル・ワイマンはオルガンを弾いてるそうです。
が、6人目のストーンズ=イアン・スチュワートもピアノを弾いており、案外、このツインキーボードがオリジナル「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」はキモなような気がしますね。
だからオリジナルの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」はハードロックというより、当時流行りのサイケっぽいサウンドになってるのはそのせいでしょう。
前年のアルバム「サタニック・マジェスティーズ」のサイケを、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」は引きずってる曲だと、私的には勝手に思ってます。
結局「サタニック・マジェスティーズ」のようなサイケサウンドは、ストーンズ歯らしくないと自らが反省(?笑)。
シングル「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」がストーンズのブラックミュージックの原点回帰の曲と通説になってます。
が、しかし、、、
ハードロック的なブルージーなギターソロのない「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」の間奏やエンディングは、多分にサイケっぽい謎。
ジャケットも、やっぱりまだ「サタニック・マジェスティーズ」を引きずってるようなそれの謎。ストーンズの原点回帰論は、ヒットしたから後付けなのではないか?と思ってしまう。
まぁ〜私等世代には、幻の初来日記念盤で発売された「ギミー・シェルター」とのカップリングのこちら↑のジャケットの方が「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」は馴染み深いわけですが。
勿論、左のミック・テイラーは「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」にも「ギミー・シェルター」にも、レコーディング時は参加していません。
なので、リアルタイム当時のストーンズを感じるなら、やはりオリジナルシングルジャケットでしょう。
ブライアン・ジョーンズが、まだ!リーダーとしてジャケットの真ん中に写ってる「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」。
でもブライアンの存在感は、サウンドでは殆どゼロの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」のオリジナルヴァージョン。
だから、、、
キースに「何故?ジャンピン・ジャック・フラッシュで、ギターソロを弾かなかったんですか?」
チャーリーに「何故?ジャンピン・ジャック・フラッシュで、おかずを入れなかったんですか?」
と聞いてみたかったですが、そんなチャンスがあるわけもなく(笑)そのうち、この爺はくたばるでしょう。というわけで、私的にはとても謎の多い「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」。
また、「悪魔を憐れむ歌」はニッキー・ホプキンスとパーカッションとキースのベースが、得にサウンドを決定的にしてる、ある種ギターバンドのストーンズらしくない曲。
どちらかというとやっぱり「サタニック・マジェスティーズ」に近いサウンドだと、私的には感じるのですが、キースはここでロック的なギターソロを導入してる。
でも、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」にそれはない(笑)。何故だろう?、、、
そしてストーンズを作った男、ブライアン・ジョーンズの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」での存在感のなさ(ジャケット同様、PVではまだまだ存在感を出してますが)。
で、作詞作曲のミックとキースは完全否定してますが、ビル・ワイマンは自身の著書「ストーン・アローン」で「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」のあのリフは自分が作ったと述べてます。
そしてブライアン・ジョーンズとチャーリー・ワッツと4人で仕上げたのに、発表後の作詞作曲がジャガー/リチャーズな事に不服を述べており、誠に謎が多いテイクです。
結局、アルバム「ベガーズ・バンケット」も完成し好評をえた翌年6月には、ミックとキースはチャーリーを伴いブライアンの家を訪ね、ブライアンにストーンズを辞めてもらうように頼みに行ってます。
勿論、仕事なのでシビアなお金の話はあックようですが、ここで「ストーンズを作った男」ブライアン・ジョーンズを、ミックとキースとチャーリーは解雇しました。
なので、、、
私的に「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」が不発不評だったら?
「ベガーズ・バンケット」も思うようなレコーディングができなかっったら?
せっかく呼んだジミー・ミラーと仲違いしていたら、ストーンズはザ・ビートルズより先に解散してたかもしれない。なんて思うほど、この当時のストーンズはあらゆる面でデビュー以来の分岐点でした。
前年の1967年には、ある種ストーンズの育ての親とも言えるマネージャーのアンドリュー・オールダムを、ミックとキースは解雇してますし。
正に!、、、
シングル「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」と、アルバム「ベガーズ・バンケット」は、ストーンズにとって運命の分かれ道だったわけです。