怪物!江川と怪物!ハイセイコーが負けた1973年春

 


地方競馬=大井競馬でデビューから無敗の6連勝のハイセイコーが、1973年3月4日の弥生賞中央競馬デビュー!

この地方競馬から中央競馬というハイセイコーの経緯が、ブルーカラー判官贔屓の日本人の琴線に思いっきり触れたのでしょう。中央デビュー戦でもいきなり1番人気。

弥生賞スプリングSも辛勝とはいえ中央でも二連勝、通算8連勝のハイセイコーは、怪物と呼ばれていました。

そして!クラシック三冠の第一戦、皐月賞は4月15日に行われ、見事に!怪物ハイセイコー地方競馬出身で中央競馬のクラシックレースで勝つなど史上初の快挙を成し遂げています。

さて、もう一人の怪物!高校野球作新学院江川卓投手が、新チーム結成以来、練習試合を含む23戦全勝負けなし、140イニング連続無失点で春の選抜大会に乗り込んできたのが1973年3月27日。

競馬の怪物!ハイセイコースプリングSに勝ち、無敗の8連勝を達成した2日後に、野球の怪物!江川卓投手はどんなピッチングをするのか?日本中の注目の的でした。

今も伝説になっておりますが、開会式後の第一試合の大阪代表北陽戦のマウンドに上がった江川卓投手がウォーミングアップで投げた1球目、大観衆はその球の速さに「ウォー」と大きくどよめきました。

1回を3者連続三振。続く2回の先頭打者も1球もボールに触れさせることができず三振。1番から4番まで、江川卓投手の快速球に1人もバットにボールをかすらせることすらできない驚嘆の4者連続三振。

甲子園球場は異様な静けさに包まれ、5番がこの試合23球目に初めてバットにボールを当てると(バックネット一塁側へのファウル)、超満員の観客から「当たった!」と大きな拍手が巻き起こったほど。

結局、試合は江川卓投手の19奪三振完封で、作新学院は2対0で緒戦突破。


正に!競馬界の怪物!ハイセイコーブームと、高校野球界の怪物!江川卓投手はリンクしていたんです。 

順当に準決勝進出した怪物!江川卓投手は、3試合25回を投げて被安打6、無失点、49奪三振奪三振率17.6。

もはや「江川をどのチームが破るのか」ではなく、「江川は大会通算いくつの三振を奪って優勝するのか」「江川の球は高校生には打てない」になっていた準決勝は4月5日。相手は広島商

なんと!ポテンヒットと内野安打のヒット2本だけなのに、最後はダブルスチールにキャッチャーの暴投で、広島商は怪物!江川卓投手を2対1と攻略。

高校野球界の怪物!江川卓投手は、競馬界の怪物!ハイセイコーより先に敗れてしまいました。



クラシック第一弾!皐月賞を制した怪物!ハイセイコーは、5月になってもNHK杯を制し!遂に無敗の10連勝。そして迎えた5月27日のクラシック3冠第二戦!ダービー。

怪物!ハイセイコーは勿論1番人気。単勝オッズは1,2倍。誰もがハイセイコーの勝利を信じて疑っていなかったのは、広島商戦の江川卓投手と全く同じでした。

ゴールまで400mで期待のハイセイコーはトップにたち、東京競馬場13万人の大観衆は大騒ぎ!

が、その直後に9番人気のタケホープ、12番人気のイジフジイサミに交わされハイセイコーは3着。遂に!競馬界の怪物!ハイセイコーも11戦目で負けてしまいました。

タケホープ単勝払い戻しは5,110円。連複払い戻しは9,560円と、もう少しで万馬券の大波乱でした。

というわけで、1973年の春、日本中を熱狂させた怪物!ハイセイコー、怪物!江川卓投手についての想い出話でした。