名作!「サイコ」なれど、ヒッチコック監督&妻アルマ死去後に作られた続編は何れも、うーん かな〜

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1960年公開のヒッチコック映画「サイコ」は、国内外問わず現在まで数多く描かれている、マザコン猟奇殺人者の定番スタイルを確立させた映画でした。

「サイコ」の原作の大元は、エド・ゲインが1950年代に起こした連続殺人事件で、1991年の映画「羊たちの沈黙」のバッファロー・ビルも、「サイコ」のノーマン同様エド・ゲインがモデルです。

また、日本公開1975年の「悪魔のいけにえ」で、猟奇殺人狂一家の中で最もウルトラバカが被ってる、人の皮を剥いで作ったレザーマスクも、エド・ゲインが実際に作っていたそれが元ネタ。

それほど後世の映画にも大影響を及ぼしているのが、エド・ゲインの事件であり、それをモデルにしたヒッチコック監督の「サイコ」なわけです。

日本公開2013年、アンソニー・ホプキンスアルフレッド・ヒッチコックを演じた「ヒッチコック」で、その「サイコ」を撮っていく過程が描かれており、「サイコ」ファンとしてはとても面白い映画でした。

変態マザコンの猟奇殺人事件を映画にするなどと、映画会社にもスポンサーにも嫌われた「サイコ」

「サイコ」の頃のアメリカ映画界は、ヘイズコードもあったお堅い世界で、マザコンの猟奇変態殺人者の映画などおぞましい。そんな映画は当たるわけがないと映画会社もエージェンシーも出資を拒否。

ヒッチコックは、それでもどうしても!「サイコ」が撮りたかったので、なんと自分の邸宅を担保に自費で撮影することになったくだりが、映画「ヒッチコック」で描かれています。

当時既に人気のヒッチコック映画は、カラーで上映されていたので、「サイコ」で何故?またモノクロに戻ったのか?長年、私的には謎でしたが、映画「ヒッチコック」で、その謎がやっと解けました。

カラーよりモノクロの方がフィルム代が安いという、製作費の問題が一番大きかったようです。

まぁ〜ファンの間では有名ですが、ヒッチコックは今だったら完全にセクハラ・モラハラで訴えられちゃう、才能はあれどの助平爺ですが、ヒッチコックの愛する妻は生涯で一人だけ。

映画作りのサポーターでもある、その妻アルマ・レヴィルとの微妙な関係も、映画「ヒッチコック」は上手く描かれているので、ヒッチコックファン、「サイコ」ファンにはお薦めの映画です。

何よりヒロインのジャネット・リーを、スカーレット・ヨハンソンが、とても美しく色っぽく演じてますので、彼女のファンの方も楽しめますし。

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で、、、

これも映画「ヒッチコック」で描かれてますが、ジャネット・リー演じるマリオンの姉妹役ライラを演じたヴェラ・マイルズは、本当はヒッチコックは大のお気に入りだったそう。

だから「間違えられた男」ではヘンリー・フォンダの妻役に大抜擢したのに、ヴェラ・マイルズがスター街道ではなく結婚という「女の幸せ」を選んだ事が、ヒッチコックは腹では面白くない。

映画「鳥」のヒロイン、ティッピ・ヘドレンに対するヒッチコックのセクハラ・モワハラは有名ですが、ヴェラ・マイルズに対してもしかり。

「サイコ」はジャネット・リーが主演女優ですが、後半は完全にヴェラ・マイルズの映画なのに、とても彼女の衣装が野暮ったいのは、ヒッチコックの嫌がらせとして映画「ヒッチコック」では描かれてます。

で、世界中で大ヒットした「サイコ」は通算で4作製作されましたが、2作目から4作目はヒッチコックと妻アルマ・レヴィルが死去した後の作品で、ヒッチコックとは何の関係もありません。

なんたって「サイコ2」が発表されたのは、アフルレッド・ヒッチコック1980年永眠、妻アルマ・レヴィルもその2年後の1982年永眠の翌1983年で、1作目から23年も経っての事でした。

そして1990年の4作目の最終作までの3本は、わずか7年間で撮影されてますから、多分、ヒッチコック夫妻は「サイコ」の続編要請が映画会社からあっても、生前は拒んでいたのでしょう。


「何言ってやんで〜。おまえら『サイコ』作る時、金出し渋ってケチつけたじゃねえか。こちとら家担保にして撮ったんだぞ。べらぼうめ!一昨日来やがれ!」と、ヒッチコック夫妻が啖呵を切ったとしても、おかしな話じゃない。

「サイコ2」以降は、ヒッチコック夫妻は何の関係もない作品、、、

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更には「サイコ」の元になる原作者のロバート・ブロックも、ヒッチコック夫妻永眠後の1982年に続編を発表しているので、彼も続編を書くことをヒッチコックに禁じられてたんじゃないでしょうかね〜?

ちなみに「サイコ2」は、そのロバート・ブロックの原作は採用されず、映画会社独自の全く異なる脚本の物語になっています。

 

時代背景は、1980年に「13日の金曜日」がヒットしシリーズ化され、1970年代の「エクソシスト」の大ヒット以降、オカルト・ホラー・サスペンス映画はヒットするドル箱でした。

 

世紀の!悪役大スター!ノーマンを、映画会社は復活させたかったのでしょう。繰り返しますが、これはヒッチコック夫妻の他界後なので、絶対に!ヒッチコック夫妻はそれまで認めなかったと推測できます。

というわけで1983年の「サイコ2」は、ヒッチコック夫妻は何の関係もないとは言え完全な続編。

アンソニー・パーキンス演じるノーマンが、22年にも及ぶ精神病院の閉鎖病棟から出てくるところから話が始まります。

そして1に続いてヴェラ・マイルズも、再びライラ役で登場しており、ライラはノーマンのシャバでの生活を嫌がり裁判を起こしますが却下。ここが「サイコ2」はポイントです。

ライラは、まっとうに暮らそうとしているノーマンを、もう一度発狂させ病院に戻そうと、自分の娘のメアリーをノーマンに近づけ、そして自分がノーマンのママに変装しノーマンを精神的に追い詰めようとします。

思えばヴェラ・マイルズ、流石に老けましたがこの役も凄い役です。

そして三作目の「サイコ3/怨霊の囁き」は、早くも二作目から3年後の1986年に公開されており、なんと!三作目はノーマンを演じたアンソニー・パーキンス自らが監督をしています。

ヴェラ・マイルズ演じるライラは2作目で殺害されたので(犯人はノーマンではない)、続編とは言え、もう完全に「サイコ」はアンソニー・パーキンスだけのものになりました(笑)。

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が、しかし、、、

残念ながら「サイコ3/怨霊の囁き」は私的にも、ちょっとなーでしたし世間の評価も低く、1990年の最後になった4作目は劇場用ではなくテレビ映画として製作されています。

また、「サイコ3/怨霊の囁き」で、ノーマンは連続殺人の実行犯で逮捕されており、一生シャバには戻れないってな話で終わってるのですが、4ではそれはなかった事になってシャバで暮らしています(笑)。

「サイコ」は1作目、贔屓目に見て2作目までは良質な社会派サスペンスでしたが、3と4は違っちゃった。

ただ、この4は幼少のノーマンのママをオリビア・ハッセーが演じており、15歳のノーマンを「ET」の少年だったヘンリー・トーマスが演じる、テレビ映画にしてはなかなかの豪華キャスト。

でも、3の連続殺人犯だったノーマンが、シャバにいて結婚生活もしてるって設定、やっぱり無理がありますよね〜。ノーマンの少年時代を描くなら完全に3はいらなかった。

また、4は如何にしてノーマンが自分の母親を毒殺したかってな話なので、刑務所や精神病棟に入ってるノーマンからの聞き取り物語でも良かったような気もしますが、、、まぁ〜いいと

でも、アンソニー・パーキンスは「サイコ」の4作目の2年後、1992年にエイズによる合併症で他界しましたが、生きていたら「サイコ5」やってたのかな〜?、、、


「サイコ」の一作目のノーマンは、アイビールックで最初は美形のやさ男で当たりの良い男なんですよね〜。

 

実際の演じたアンソニー・パーキンスも、まだ28歳の青年でした。

 

それが、(あれ?こいつ、好青年ぽいけどちょっと危ない奴系?)と徐々に思わせるのがドキドキしたわけで、そしてラストのあの!あっと驚く有名なシーン。

 

あっちゃー!ノーマンて いっちゃってた奴なんだ〜!と誰もが驚いたわけです。
 
ところが2作目のアンソニー・パーキンスは50歳を超えており、最初から猟奇変態スター復活!本人もそういう演技でしたからね〜。
 
そういうわけで1作目の意外性がないので、ちょっとな〜な気がする爺でした。