名作!「禁じられた遊び」はポーレットを演じた、幼いブリジット・フォッセーに尽きるな〜

 


フランスの巨匠!ルネ・クレマン監督の映画「禁じられた遊び」。

禁じられた遊び」はギターの名演でも有名で、また、この曲は「ギター初心者」の登竜門、誰でも弾ける簡単な曲と思われてる曲でもあるわけですが、これは声を大にして全力で私は否定したい(笑)。

禁じられた遊び」は、本気で全曲弾こうと思ったら、挑戦した人ならわかると思いますが、クラシックギターの得意な人以外にはかなり難しい曲です!

一般に簡単だと思われてるメロハモは曲の冒頭の一部であり、映画「禁じられた遊び」のオープニングでも全曲が導入され聴くことができますが、そもそも全曲を知ってる方は少ない。

禁じられた遊び」は、元々はスペインの民謡だそうで、誰もがお馴染みのあのアレンジは、映画「禁じられた遊び」でギタリストのナルシソ・イエペスが編曲・演奏したものが使われたことで有名になってます。

1941年のアメリカ映画「血と砂」でも、後に「禁じられた遊び」になる「愛のロマンス」は使われてますが、かなりアレンジが異なるので(いかにもスパニッシュ系)、興味のある方は聴いてみて下さい。

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というわけで、前置きが長くなりましたが映画「禁じられた遊び」。

若い頃にテレビの洋画劇場で観て何も感じず(笑)、大人になってレンタルビデオでもう一度観て、やっぱり何も感じず、爺になって観たらどうだろうと、Amazonプライムで再び観てみたら、いやー!良い映画でした。

結局、主人公のポーレット。この映画は、少女の表情と髪型と衣装が全てと言っても良いかもね(ミシェルも良かったけど)。

ポーレットがもっと不細工で垢抜けない女の子だったら、映画「禁じられた遊び」は、そこまで観ている大人に感動は与えなかったでしょうね〜。

ポーレットは少女でもパリジェンヌで垢抜けていて、洋服も洒落ているし映画でも台詞に出てきますが、最初は香水もつけてもらってる。

ナチスドイツの空爆から逃れるために街を出たポーレット一家は、まだ馬車とか人力で荷台に荷物を乗せ逃げてる人たちが多い中、自家用車に乗っていたので、かなり裕福な家庭の設定です。

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何事もなく自家用車でパパとママと愛犬と郊外に逃げられたら、ポーレットの人生も違ったのでしょうが、車は悲しいかな故障してしまい、パパとママと愛犬は空襲で殺害されてしまう。

洒落た洋服と髪型のお人形さんみたいな可愛いパリジェンヌのポーレットは、けっして裕福ではない酪農家っぽいミシェル少年の家に世話になる事になる。

ここまで可憐で可愛いポーレットを、死んだパパとママ以外、大人はちっとも大事に扱わない。むしろ「厄介者」「お荷物」扱いなのが、流石に我が身可愛さが露骨に出るであろう戦時下の設定。

この辺の描き方、私的に好きですね〜。

野坂昭如氏の「火垂るの墓」は、おそらく多分「禁じられた遊び」の影響を受け書いたのではないかと勝手に私は思ってますが、どちらもとても!異常に!大人が子供に冷たいのが良いです。

ミッシェル少年は美少女であか抜けてるポーレットとお似合いの美少年ですが、彼の一家は田吾作。

少女でもパリジェンヌのポーレットと、この田吾作一家の対比はとても!面白い。何故?少年時代、大人になったばかりの頃、こんなに面白い対比の描写に気づかなかったのか、自分のバカさ加減が嘆かわしい(笑)。

ポーレットは聞き分けの良い女の子ではなく、我儘なパリジェンヌ、お嬢です。そして田吾作一家の子供のミシェルは、そんなポーレットの気をひこう、ポーレットを喜ばそうと一生懸命。

良いですね〜この描写。これもう少し年齢を上げて二人が思春期だったら、とてもわかりやすいエロスですが、少年と少女だからやたらと微笑ましい。

結局、ポーレットが喜んだのがお墓遊びで、ポーレットは墓に突き刺す十字架に魅せられ、教会の十字架を欲しがります。だってポーレットは無邪気で我儘なパリジェンヌだから。

そしてミシェルはポーレットを喜ばせたくてしょうがないから(子供心に惚れていたのでしょう)、墓荒らしをしてでも十字架を盗みまくる。この男の一途なバカさ加減の描き方も、とても良いですね〜!

これが二人がもっと大人で、目当てが十字架ではなく、お金や宝石ならちょいとしたエロチックサスペンスになるからね(笑)。

原作ではミシェルはポーレットのために、教会の十字架を奪おうとして落下して死んじゃうみたいですが、映画ではその展開はなし。

この辺はこちらもルネ・クレマン監督の名作!「太陽がいっぱい」も同じで、監督は原作を変えてます。


盗んだ十字架の数々の場を正直に教えれば、ポーレットを孤児院に入れないと大人たちはミシェルに約束しますが、意図も容易くその約束を大人たちは反故にしちゃう。

孤児院に送ることがポーレットの幸せと大人たちは皆本気で思い(面倒を見るのが、裕福ではないミシェル一家は嫌だったのでしょうが)、また、ポーレットもミシェルもそれを嫌がる。

まぁ〜大人の都合で戦争になり、大人の都合でポーレットは街を追いやられ、大人の都合でパパとママを殺害され、大人の都合で大好きなミシェルとポーレットは離れ離れにされちゃう。

そしてポーレットの表情と演技が素晴らしい!感動のラスト。ポーレットがそれまで抑えていたのでしょう。泣きながら「ママ〜」と初めて感情を露わにし人混みの中に消えていくこのラスト!

名作とはこういう映画を言うんだな〜。と、爺になってやっと!わかった盆暗爺でした。

最後になりますが、ポーレットを演じたブリジット・フォッセーは子役を一度やめて大人になってから女優として再デビューしており、アラン・ドロンチャールズ・ブロンソンの「さらば友よ」や、ソフィー・マルソーの「ラ・ブーム」などに出演してましたね。

ある時期から出演作品も聞かれなくなりましたが、2022年現在、70代のブリジット・フォッセーはご健在のようです。

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ミシェルを演じたジョルジュ・プージュリーも、ルイ・マル監督のこちらも名作!「死刑台のエレベーター」でチンピラ兄ちゃん役で、モーリス・ロネジャンヌ・モローリノ・ヴァンチュラと共演してましたね。