「オリエント急行殺人事件」は一度、日本公開1975年、当時のオールスターキャスト で映画化されており、2017年ものは2度目の映画化。
で、アガサ・クリスティのこちらの原作は1934年に発表されており、この物語の元になったと思われる、リンドバーグ愛児誘拐事件がアメリカで起きたのが、1932年。
ドイツでアドルフ・ヒトラー政権が誕生するのが1933年、そして1934年には総統に就任。
これから1945年のドイツ敗戦まで12年間の、ヒトラーナチス の時代が始まった年に、この「オリエンタル急行殺人事件」は書かれています。
更に2017年版では会話で名前が出てきますが、ソ連のヨシフ・スターリンが政権の中枢になり、政敵の粛清をがんがん始めだすのも、この時期です。
そしてなんと!「アンタッチャブル」でお馴染み、アメリカで禁酒法があったのもこの前年の1933年。
アル・カポネが脱税で逮捕されたのが1931年。
1934年、我が日本はどんな時代だったかと言えば、満洲が帝国になり溥儀が皇帝についた年です。
ベーブ・ルース、ルー・ゲーリックのアメリカ大リーグ選抜チームが日本に遠征、全日本(後の読売巨人軍)と対戦したのも1934年。
こうして時代背景を考えて、こちら「オリエント急行殺人事件」みると、ちょいと面白いです。
まず、大前提としてアメリカはまだ世界の覇者ではありません。
当時の世界の覇者はイギリスであり、アメリカは成り上がり国家で、欧州人から見たら禁酒法なんてバカげた法律作ってた、金はあるけどマヌケな国、、、。
だから!殺害される実業家もどきは、アメリカ人の悪者なのは、なんとなく納得(笑)。
この物語の、トルコのイスタンブールからフランスのカレーまでを突っ走るオリエント急行の乗客は、他にベルギー人の私立探偵のポアロの他、ロシア革命後フランスに帰化した亡命ロシア人公爵夫人、彼女に使えるドイツ人女中。
ハンガリーの伯爵で外交官夫妻、 スウェーデン人、イギリス人、ギリシャ人、フランス人、そして他にもアメリカ人と、人種のるつぼです。
日本公開1975年版では、かなり国籍について辛辣な台詞がありましたが、2017年版は「人種的偏見」という字幕だけで、ちょっとここは弱かったような気がします。
てなわけで、、、
そんな世界の時代背景を思いながら観ると、「オリエント急行殺人事件」面白いかもねー♪