1929年生まれのハル・ブレインは、1948年にカリフォルニア州で音楽のプロの仕事を始めています。
サム・クック、ジャン&ディーンらのバックの仕事の後、三十路を超えた60年代初頭フィル・スペクターのセッション・メンバーとなり、ハル・ブレインは一流ドラマーの仲間入り。
とはいえ、ハル・ブレイン含む彼等古のアメリカンミュージックを支えた腕利きスタジオミュージシャン、通称「レッキング・クルー」が、一般どころか音楽業界でも知れ渡ったのはわりと最近の事です。
2016年に「レッキング・クルー」のメンバーでギタリストだったトミー・テデスコの息子、デニーが父が肺がんに侵されたことをきっかけにカメラを取り、数年に渡り父や関係者にインタビューを敢行。
そしてデニーが監督で「レッキング・クルー 〜伝説のミュージシャンたち〜」として映画化されたことで、日本は勿論、本国アメリカでもその存在が知られるようになりました。
以下、私が好きな曲だけピックアップしましたが、これだけハル・ブレインの叩くドラムで気持ち良くさせてもらってたのか〜と、しみじみしてしまいます♪
ザ・モンキーズが確たる資料が見つからないので、曲目はあえて書きませんでしたが、おそらくあれやこれやのヒット曲は、ハル・ブレインでしょう。
思うにザ・モンキーズは当時、スタジオミュージシャンを使ってるからインチキだ〜偽物だ〜と日本でも叩かれましたが、ではそのスタジオミュージャンて誰?を誰も研究しなかった。
嫉妬と僻みで、人気者を貶めるネガティブ情報にはすぐ飛びついて九官鳥のオウム返しを嬉々としてやるけど、その検証がないのは、今も昔も音楽に限らず日本ではよくある話です。
ザ・ビーチボーイズも、ある時からメンバーのブライアン・ウィルソンがライブツアーから外れ、自分で作った楽曲をスタジオミュージシャンを集め(それがレッキング・クルー)レコーディングしていたのは、ファンには有名です。
でも、これもかなり後になって大瀧詠一氏や山下達郎氏の研究と発言でわかったわけで、リアルタイム1960年代は誰も言わなかったし、研究もしてなかった。
というわけで、「レッキング・クルー」という名のスタジオミュージシャン達は以下の通り。
アル・デロリー ラリー・ネクテル マイク・メルヴォイン ドン・ランディー ミシェル・ルビーニ リオン・ラッセル
デニス・ブディミール ジェイムス・バートン グレン・キャンベル アル・ケイシー デヴィッド・コーエン ジェリー・コール マイク・ディージー バーニー・ケッセル ルー・モレル ドン・ピーク ビル・ピットマン マック・レベナック(ドクター・ジョン) ハワード・ロバーツ ルイ・シェルトン ビリー・ストレンジ トミー・テデスコ
チャック・バーゴファー ジミー・ボンド ライル・リッツ
マックス・ベネット キャロル・ケイ ジョー・オズボーン レイ・ポールマン ボブ・ウエスト
ハル・ブレイン フランク・キャップ ジム・ゴードン アール・パーマー
最後になりますが、日本の島倉千代子さんのグループサウンズブーム真っ盛りの1968年の名曲!「愛のさざなみ」 が、バックの演奏はLA録音でハル・ブレインなのには驚きました。
おそるべし!浜口庫之助氏とレコード会社! そして『島倉千代子』という名の格!
言われてみれば「愛のさざなみ」は、ハル・ブレインが叩いていたママス&パパスの「マンデー・マンデー」に、グルーヴが似てますね〜。