ちょっとした音楽ファンなら誰もが!聴き覚えがあるであろう、ベニー・グッドマン楽団の「シング・シング・シング」。
叩くは元祖!ドラムスターとボクは思っております、ジーン・クルーパ。
50年代半ばから後半、空前のR&R(R&B)ブームが起きる迄、アメリカで大衆に圧倒的に支持されていたのは、ダンスミュージックだったジャズでした。
そしてそれは戦後日本にも入ってきて、日本でも一大ジャズブームが起きています(戦前から日本にジャズははいっていたが)。
特に日本でジョージ川口氏、猪俣猛氏、フランキー堺氏といったドラマーが、ジャズブーム期、注目を集めたのは、こちらジーン・クルーパの影響だったでしょう。
まあ「シング・シング・シング」そのものが大東亜戦争以前、1930年代の曲と古く、大東亜戦争以前に既にジーン・クルーパはベニー・グッドマン楽団を脱退しております。
初来日の1952年(戦後未だ7年)は、人気のベニー・グッドマン楽団ではなく自身のグループでの来日とはいえ、戦後の日本のジャズブームに、多大な影響をジーン・クルーパが与えたのは紛れもない歴史の事実でしょう。
とはいえ、当時の日本人でジャズだのドラムスだのに興味を抱いていた人は、かなりの「ハイカラ」で「あか抜けた」人達。
なので一般論の戦後史では、あまりジーン・クルーパや当時のジャズブームは、語られることはないようです。
大衆にとけ込んだブームは、やはり1950年代後半のロカビリー、ウエスタンブームからの方がマスメディアも紹介がしやすいのでしょう。
が、やはりそれ以前のジャズブームを語らないと、日本の戦後の音楽史はちゃんと見えないようになっております。
ジーン・クルーパはドラマーとしても凄いプレイヤーでしたが、1930~40年代のダンスミュージックとして圧倒的に大衆に人気があり支持されたジャズ、ジャズマン達は普通にスターでした(今の中年層にはロックスター、若い人達はJポップやジャニーズ系のソレと思えばわかりやすいかも)。
ジーン・クルーパはルックスもよく、又、終始笑顔での演奏、踊るようにドラムを叩くその明るさから、中でも大スターだったよう。
なので、彼の往年の映像と音源は、かなり残っており、YouTubeでアップされてるのが、とても嬉しいですね。
で、このジーン・クルーパに憧れてたドラマーが、ロック界にその人ありのレジェンド、ロックスター!レッド・ツエッペリンのボンゾ=ジョン・ボーナムやカーマインアピス、キッスのピーター・クリス。
更には、日本でも大人気のザ・ヴェンチャーズのドラマーだったメル・テイラーも、彼の影響を強く受けているそうです。
特にボクはメル・テイラーのドラミングとパフォーマンスは、最も!ジーン・クルーパの影響を感じます。
古のジャズブームで人気だったジーン・クルーパ、そして彼に影響をうけた、日本でエレキブームを巻き起こしたザ・ヴェンチャーズのドラマーだったメル・テイラー。
彼等ドラマー二人の名を知らずとも、日本人は彼等二人のドラミング、グルーヴに、無意識のうちに潜在的にかなり感化された民族だと言えます。