宮沢りえさん主役映画「紙の月」で思い出した、1981年の「三和銀行オンライン詐欺横領事件」


前々からちょっと観たいなと思っていた、宮沢りえさん主演の2014年の映画「紙の月」を観たけど、思ったより良かったですねー。宮沢りえさんも、とても良かった。

で、、、

最近、自分も還暦超え爺ですが、身内のもっと年寄り達の関係で、随分と金融庁管轄の諸々の仕事場や役所関連、病院や有料老人施設に行く事が多くなって、つくづく感じたのですが、、、

ボクからみたら「おねーちゃん」から、少し年下の「おばちゃん」迄、どの職場も、女性がしっかりきっちり働いてますねー。

彼女達は、赤の他人のお年寄りの、生命とお金に関わる仕事をしてるわけですから、思えば随分と信頼と信用を、赤の他人の家族からも社会からも、ともに得てる仕事だと思います。

で、、、

まあ、結局、宮沢りえさん演じる梨花は横領、詐欺事件をおこすわけですが、この原作は、おそらく多分、作者の角田光代さんの年齢も考えて(1967年生まれ)、、、

バブル数年前の1981年に起きた「三和銀行オンライン詐欺横領事件」の、伊藤素子がモデルでしょう。

伊藤素子は生まれも育ちも悪くない、美貌のベテラン行員て事でも、マスメディアで面白がられましたし、映画の梨花のように海外逃亡もしてましたからね〜。

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ただ、、、

「紙の月」に登場する他の女性達、同僚で上司と不倫をしていた「相川」。

実際の伊藤素子も、初めての相手は妻子もちで(後で知る)、相手の「離婚する」という言葉を信じ、ずるずると12年も関係を続け堕胎も繰り返し、当時で言えば婚期を逃した三十路を越えたベテラン行員。

その姿は、「紙の月」の「隅」にも通じるものがありますから、「紙の月」の3人の女性行員は梨花だけではなく、全て!伊藤素子にインスパイアされてると、ボクは思いますねー。

まあ、昨今は特に、金融庁管轄の職場は「オレオレ詐欺」の影響もあり、コンプライアンスがもの凄く厳しくなってます。

また、実際に金融庁管轄の職場、或いは役所関連、施設や介護、医療や薬剤の現場に接すると膨大な書類提出に辟易しますし、チェックも諸々厳しいので、その昔に比べると、行政指導がかなり行き渡ってるような感じを受けます。

が、、、

何時の時代もおきてびっくりの、その上をいく!思わぬ事件、予期せぬ事件、前例のない事件て、おきますからねー。

どんな行政指導をしてもコンプライアンスを厳しくしても、そこは人間のやる事、、、

この先も、事件はおこり得るでしょう。


で、「三和銀行オンライン詐欺横領事件」、、、

長年の不倫関係の末、三十路も過ぎ婚期を逃したと思っていた伊藤素子の前に現れた二人目の彼氏、ハンサムで長身の自称「青年実業家」の南敏之。

この男に女としての人生をかけた伊藤素子と、既に結婚をして、そこそこ平穏な家庭を築いていた「紙の月」の梨花は、ちょいと犯罪に走る根本の動機が違ってますね。

それまで貯めていた貯金全てを南敏之に貢いで、すっからかんになった伊藤素子は、南敏之に詐欺横領をもちかけらても断りきれなかった。

伊藤素子は自らの貯金を元に戻したかったし、結婚もしたかった。

でも、「紙の月」の梨花は違う。

梨花は結婚もし、そこそこの生活もしている中、ミッションスクール時代に「ほどこし」を与え、それを感謝される事の気持ち良さと快感が忘れられない女性。

その癖で年下の男に「ほどこし」を与え感謝され、喜んでもらえるのが気持ちよくて快感だっただけで、伊藤素子のような女としての切実な動機など、微塵も欠片もない。

だから、もし梨花が実際に存在してて逮捕されたら、伊藤素子のような「世間の同情」は受けなかったでしょうし、裁判所も情状はないでしょうねー。



あと、舞台設定が1994年、バブル崩壊からちょっとした、未だ人々の気分はバブルのままだったソレなのも、上手いですねー。

自分の給与で買った、あまり高価ではないペアの時計を梨花が旦那にあげても、旦那は感謝しないシーン、あれ上手いですねー。

あれに旦那がもの凄く感謝して喜んだら、梨花のミッションスクールで覚えた癖は、満たされたでしょうから。

だから、その後のたかが時計1つなれど、なんか夫婦の歯車がかみあわないシーン、あの演出も、とても上手いですね〜。

とにかくこの映画、人間の心理描写がとても良く出来てる。

映画は銭かけりゃーいいってもんじゃないですね。

脚本が良くて、撮る側がセンスがあれば、金なんてかけてなくても、十分面白い。

で、最後に、、、

この手の映画、小説に感化され(よーしオレも若いツバメになろう!)な〜んて思い上がる、はたから見てると「おまえは絶対!無理」としか言いようがない、しょーもないダッサいバカな田子作の若者いますからねー。

これ不倫ドラマとかに感化され、話し作って喜んでる(その話しフェイクでしょ?)としか思えない、スーブーなダッサーいオバちゃんもしかり、、、。

現実の世界は、、、いい年した鬱陶しいバカが本当に多い(笑)。