1975年夏、4月に日比谷野音で行われたキャロルの解散ライブが、遅ればせながらTBSの夕方枠、若者の情報番組「ぎんざNOW!」で放映されました。
後にビデオ化・DVD化もされたので、あの映像を観た方ならおわかりですが、芸能界デビュー前の、キャロル解散ライブの警護を担当したクールスのメンバーだった岩城滉一氏が、冒頭を飾っています。
岩城滉一氏は俳優として東映にスカウトされ、撮影期間がどれだけのものだったのか?今も不明ですが、カメラテスト的な「新幹線大爆発」のちょい役を経由し、1975年9月、堂々の主演映画「爆発!暴走族」が公開されました。
岩城滉一氏、全くの芝居はずぶの素人。
なので公開時は、それでも天下の東映(笑)、一応、主演はネームバリューある千葉真一氏ということでロードショー!
が、映画の内容は100%岩城滉一氏の主演物語です。
千葉真一氏は、岩城滉一氏演ずる「街道レーサー」の恋人(藍とも子)の、元世界的レーサー設定のお兄さん役。
藍とも子さんはこの映画の翌春、21歳で11歳年上のプレイボーイ!峰岸徹氏と結婚し、当時は話題になりましたが、後に離婚しています。
で、当時の東映ですから(笑)、アメリカのロジャー・コーマンばりに、暴力と共にセックス描写は欠かせません。
1972年の東映映画「緋ぢりめん博徒」で中村英子さん、藤浩子さんと共に「ポスト藤純子」と謳われた一人、松平純子さんが、おっぱいを披露していますが、彼女はこの数年後に結婚され芸能界を引退しました。
そして岩城滉一氏に敵愾心を燃やす仇役は、元オックスの末期のメンバーで、梶芽衣子さんの日活「野良猫ロック」シリーズや、テレビの青春ものに役者として出演していた夏夕介氏。
1974年、テレビドラマ版の「純愛山河・愛と誠」で、池上季実子さん演じる早乙女愛の相手役 太賀誠を演じ、名前と顔がお茶の間で知れた直後だった夏夕介氏も、リアルタイム公開時は注目された一人でした。
で、「爆発!暴走族」は、当時のリアル暴走族が撮影に駆り出され、チーム名もポスターや看板には出ていたので、、、
映画の内容はともかく(笑)、東映の思惑通り「そういう連中」が映画館に集まり、「爆発!暴走族」はそこそこのヒットになりました。
岩城滉一氏の爆発!シリーズは、毎回同じような物語なれど、主人公の名前も設定も違っており、一貫したシリーズ性はなかった、、、
そして続いて岩城滉一氏主演映画第二弾は、前作の「爆発!暴走族」上映から僅かに4ヶ月弱、1976年の1月上映の「爆発!暴走遊戯」。
こちらも撮影期間が、どれだけのものだったのか?さっぱりわからない(笑)、かなり短期間撮影の上映でした(暴走シーンは、1作目の使い回しもあったし)。
「爆発!暴走族」の小ヒットに東映は安心したのか?、「爆発!暴走遊戯」には千葉真一氏のようなビッグネームの起用はなく、当時の東映若手俳優中心の出演陣。
ヒロインは当時、デビュー作の映画「聖獣学園」で、いきなりおっぱいを出し(偉いですね〜♪)人気沸騰だった、多岐川裕美さん。
岩城滉一氏の妹役で出演しています。
そして「トラック野郎」シリーズ第一作目のマドンナであり、ミス・パシフィック日本代表、この後、松田優作氏との諸々の共演で名を馳せる中島ゆたかさんが、岩城滉一氏と同じチームの「姉御」役。
人気テレビドラマ「太陽にほえろ!」の第一回のヒロイン、水谷豊氏の恋人役だった鹿沼えりさん含め、この女優御三方が、前作同様、内容はノーコメントの(笑)「爆発!暴走遊戯」に花を添えています。
そして、なんと言っても「爆発!暴走遊戯」の当時の最大の目玉・話題は、海外F2レースで活躍していた、本物のイケメン現役レーサー!「黒い稲妻」、人気の桑島正美氏の登場でした。
が、しかし、、、
同じ全くの芝居素人の岩城滉一氏と比べても、桑島正美氏の台詞は「棒読み」。
この数年前の三沢高校、甲子園の人気者だった太田幸司氏の、プロ入り後のグリコのCMを思い出したほど、桑島正美氏はレーサーとしては一流でルックスも良かったですが、俳優のセンスはなかったです。
リアルタイム当時、新宿東映で観ていたボクは、桑島正美氏の台詞になると、場内から失笑が起きたのを今も覚えています。
以降、桑島正美氏の映画やドラマの出演は、ありません。
岩城滉一氏の爆発!シリーズは、岩城滉一氏の乗るKAWASAKI ZⅡのバイクシーンと、綺麗どころの女優を観る映画(笑)。
それでも!岩城滉一氏の「爆発!」シリーズは、それなりの数字を残したのでしょう。
シリーズ第三弾は「爆発!」の冠はつきませんが、今回は夏に合わせたのか?インターバルは半年とやや長目の1976年7月、「暴走の季節」が上映されました。
前回に引き続き、当時のボクが一番好きだった女優、中島ゆたかさんがヒロインで連投!
そしてもう一人、映画「ハレンチ学園」の二代目十兵衛役、テレビドラマ「プレイガール」のメンバーだった渡辺やよいさんが、こちらも内容はノーコメントの映画に花を添えています。
話がそれますが、世間では可愛い子ちゃんのアイドルブームでしたが、ボクは当時の東映に出ていた、セクシーで怪しい綺麗なおねーさん達の方が、断然好きでした。
そして「暴走の季節」の岩城滉一氏の敵対役は、志垣太郎氏と清水健太郎氏。
まぁ〜志垣太郎氏は、テレビの人気ドラマ「おれは男だ!」の後半で、転校生の不良少年役で名を馳せた方でしたが、、、
この方は普通に「役者さん」で不良でもなんでもないのは、わかりましたから、ちょっと違和感がありました。
一方、違和感がなかったのが清水健太郎氏。
清水健太郎氏は当時、テレビ「ぎんざNOW!」で素人なのにリーゼントでサングラス姿で人気になり、この後、髪をおろし「失恋レストラン」で大ブレイクしましたが、彼はこの映画で不良に見えました。
岩城滉一氏の爆発!シリーズを観て、当時の暴走族は本当にこうだったと、後世の人は思ってはいけません(笑)。これは映画です!
そしていよいよ「爆発!」シリーズも4作目になると、如何に低脳でも「もうちょっとマシな映画作ってくれないか?」と思うほど、正直「爆発!」シリーズは、映画としては「いかがなものか」レベル。
前作に続いて4作目の「爆発!750cc族」も、当時は人気だった清水健太郎氏が続投しますが、前3作と同じ、内容はノーコメント(笑)。
東映も、岩城滉一氏の話題性も「もうここまでかな」と思ってたのでしょうか?
なんと!前作からインターバルは、たったの2ヶ月強で、1976年9月に「爆発!750cc族」は上映されています。
撮影期間が、どれだけだったのか?こちらも不明です(笑)。
で、今作のヒロインはテレビ「11PM」等で人気だった、セクシーなジャネット八田さん。
ジャネット八田さんは、現在のフジテレビアナウンサーの田淵裕章氏のママ、野球の田淵幸一氏の奥様です。
ジャネット八田さんは、岩城滉一氏演じるグループと対抗するグループの若社長(西田健)の女の、ブティック経営者役。
しかし西田健氏は当時、三十路も超えてましたし既にテレビドラマの「帰ってきたウルトラマン」「アイフル大作戦」等で、その人ありの役者さんでしたし、ちょっと不良が似合わない役者さんでした。
ライブシーンでは元ザ・カーナビーツ、ザ・ゴールデンカップスのアイ高野氏も登場しています。
アイ高野氏はこの後、「竹田和夫オールスターズ」を経由しクリエーションのメンバーになり、1981年テレビドラマ「プロハンター」のテーマ曲「ロンリーハート」の大ヒットを放っています。
というわけで、1975~1976年に計4本撮られた、それまでは唯のバイカーで芝居はズブの素人だった岩城滉一氏主演の「爆発!」シリーズ。
なんだ〜かんだ〜言っても、全て!リアルタイム新宿東映で観ていたバカはボクですので(笑)、、、
岩城滉一氏はじめ出演していた若き方々、その後は皆さん人生色々。
ボクも色々、そんな事を考えて眺めてみるのも、爺は面白いかなーと思う映画です。
最後になりますが、年が明け2021年になると岩城滉一氏は70歳、古希になります。
クールス結成は、岩城滉一氏と帝京大で同級生だった佐藤秀光氏がとっかかりで、お二人がバイクを止めて喫茶店でお茶を飲んでいた時に、舘ひろし氏がお二人に近づいてきて仲間になったとか、、、
なのにこの経緯で、何故に?岩城滉一氏ではなく、舘ひろし氏がクールスの所謂「団長」で岩城滉一氏が「副団長」だったのか?
今も私的には謎が残るのですが(笑)、東京者の岩城滉一氏と佐藤秀光氏が、地方出身の実はお坊っちゃま君の舘ひろし氏を、「持ち上げた」のではないかと、ボクは勝手に思ってます(笑)。
そしてクールスは、当時の所謂「暴走族」ではありません。
年齢的にも当時、ティーンエイジャーが主だった暴走族と違い、クールスは結成時から皆、成人を超えていた「いい大人」のバイク好きのバイカー集団でした。
佐藤秀光氏は2020年現在もバイク一筋で、chopper というバイクショップも経営してますし、岩城滉一氏が車とバイクが大好きなのは有名で、そのへんのバイク好きさは若い頃から不変。
筋金入りのバイカー人生だと言えます。